2019 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis and physical evaluation of polyazulene-doping graphene-nano-ribbons
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19K22185
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高須 清誠 京都大学, 薬学研究科, 教授 (10302168)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | グラフェンナノリボン / アズレン / 物性 / キラリティ / 遷移金属触媒反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の連続したアズレン構造を分子内に含む新規なグラフェンナノリボンを設計した。本化合物の特徴として、上下に異なるエッジ構造を有することやアズレンに由来する分子双極子モーメントを有することが予期され、それに基づいた特徴的な光学的性質や酸化還元電位、分子間会合などの性質が発現することを期待した。 独自に開発したベンゾ縮環シクロブタノールの合成を利用し目的としたうちのひとつのグラフェンナノリボンを合成した。その化合物の物性について情報を整理し、へリックス構造に基づく会合という興味深い現象を見出し、それがレドックス物性に影響を与えることも明らかにした。同時に、計算化学的にこの分子のNICS(0)およびNICS(1)をシミュレーションすることにより、化合物に含まれるナフタレン及びフェナントレン様のベンゼノイド縮環構造は、それぞれ無置換のナフタレン環、フェナントレン環よりも大きなNICS値を持ち、アズレンクラスター(非ベンゼノイド芳香環)の芳香族性が弱まっていることが示唆された。 もう一つの種類のアズレン含有ナノグラフェンの合成を進めるために、遷移金属触媒を利用したπ拡張フルオランテンの構築反応を計画した。検討の結果、中程度の収率で目的化合物が首尾よく得られる条件を見出している。現在は、遷移金属触媒のリガンドを設計し収率の向上を目指している。本反応はC-H結合活性化を伴う連続的なC-C結合形成反応であり、これまでに類をみない分子構築法である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究を順調に進めることができ、その中途で見出した成果をOrganic Letters誌に掲載された。また、アズレン含有グラフェンナノリボンの合成と物性に関しては、現在、国際誌に投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究に基づき、新たな非ベンゼノイド型拡張π分子の合成を進める。基質・生成物の構造(縮環位置、置換基、官能基)に応じて合目的・合理的な逆合成に従い、適切な方法を探索する。得られたナノグラフェンユニットを二(多)量化し、グラフェンシートの創製も検討する。
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Causes of Carryover |
2019年度に購入しようと計画していた機器について、計画していた実験の時期をずらしたため、2020年度に購入することに変更したため
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Research Products
(5 results)