2019 Fiscal Year Research-status Report
Laser-soft x-rays combined analysis of optically trapped aqueous droplet
Project/Area Number |
19K22195
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
火原 彰秀 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30312995)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 慈久 東京大学, 物性研究所, 教授 (70333317)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
Keywords | エアロゾル / レーザー分光 / 放射光 / X線分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、気液界面化学を大きく進展させるためのツールとして、液滴光トラップ-軟X線放射光顕微分光法を開発することを目的とする。 本年度は、光トラップ液滴表面張力測定装置開発を進めた。研究代表者はこれまで空間制限された気液界面での毛管張力波共鳴を利用した準弾性レーザー散乱法(共鳴QELS法)を研究し、マイクロ流路中気液界面、マイクロウェル中気液界面、エアロゾル液滴気液界面の計測に成功してきた。この方法はレーザーにより表面物理現象を捉える手法であり、放射光顕微計測と組み合わせるためには持ち運び可能な装置の開発がキーポイントとなる。 レーザー光源には通常コヒーレンスの高いHe-NeレーザーやLD励起固体レーザーなどを用いてきたが、ここでは性能が向上した分布帰還型半導体レーザー(波長780 nm)を用いた。このレーザーは、装置の小型化が容易であり、単一周波数特性をもち、共鳴QELS法のような光ヘテロダイン測定に向いていると考えた。装置を組み上げた結果、問題なく共鳴QELS測定ができることを確認した。また、ガルバノミラーを購入し、光走査できるようにした。 研究代表者と研究分担者の議論の結果、ナノ・マイクロバブルへ社会の注目から、液滴と同時に水中の気泡も気液界面科学として重要なターゲットとなり得ると考えた。計測としては研究構想とほとんど同じ実験系が想定される。まずは簡単のため、マイクロ流体で形成したマイクロバブルを共鳴QELS法にて測定することを試みた。流れるマイクロバブルを計測したところ、気泡由来と思われるピークが得られたが、ピーク帰属にはSN比向上が必要であることが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体計画のうち、水滴用・バブル用の装置改良、ガルバノミラーを組み込んだ装置改良など当初想定していた速度で研究が進展している。年度途中に分布帰還型半導体レーザー素子の寿命による光低下が見られたが、素子交換により当初の計測精度を保っていることを確認した。装置開発面では順調に研究が進展していると言える。 水滴・気泡の測定対象制御では、マイクロ流体形状の検討や流体最適化に多少の時間がかかったが、概ね順調に技術蓄積ができてきている。気泡測定を例に時間分解スペクトルの一斉解析法など、次年度以降の解析法整備に向けたスクリプト開発も進めた。複数の多変量解析手法による解析が可能となり、研究は順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度以降放射光計測と組み合わせるためには、水滴・気泡ともトラップ・固定化が必要となるため、長時間計測安定性について検討を行う。水滴光トラップ条件では、湿度制御の状態により、トラップ水滴の径が変化する現象が見られる。現在、湿度コントロールは湿潤空気フローにより行っているが、フローを止めた状態との比較など実験技術的な検討も必要となる。
|
Causes of Carryover |
年度途中にレーザー素子交換があり、測定精度を確認しながら研究を進めたため、部品購入が遅れた。年度の目標は達成したと考えているが、光学部品・流体部品の購入は次年度にずれ込んだ。全体計画としては、従来どおりの計画を考えている。
|
Research Products
(1 results)