2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K22206
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 治 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (80270693)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 分極 |
Outline of Annual Research Achievements |
分子内電子移動により双極子モーメントが大きく変化する原子価互変異性化合物は、分極スイッチング材料を開発するための理想的な分子である。我々は、原子価互変異性化合物を用いて、分極反転を示す新物質を開発し、次世代センサー、高密度データストレージ、および環境発電デバイスに応用することを目指して研究を行っている。本年度は、キラル配位子を有し、金属配位子間電子移動に基づく原子価異性を示すコバルト錯体に着目し、その光応答性の評価を行った。具体的には、新たに開発したコバルト錯体に532 nmの光を照射し、光照射前後の磁気特性を測定した。その結果、光照射により磁化が増大し低温でトラップされることを見出した。これは、配位子から金属への電子移動と金属のスピン転移が誘起され、光照射後の準安定状態の寿命が長いことを示唆している。光照射後温度を上昇させると光照射前の状態に戻った。光応答性は繰り返し観測された。すなわちこの分子は分極反転、及び光誘起分極反転に応用が可能な新しい光応答性の原子価異性錯体であることが示唆された。単結晶構造解析により、双極子モーメントの変化はb軸方向が大きいことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光応答性を有し、光照射により双極子モーメントが可逆に変化する新しい原子価異性錯体を開発することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
分極反転の実現へ向けて分子内電子移動を示す新規原子価異性錯体、及び異種金属からなる新規錯体を開発し、それらを混合することで目的を実現することが必要である。
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