2020 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of Covalent Organic 2-Dimensional Materials
Project/Area Number |
19K22210
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
瀧宮 和男 東北大学, 理学研究科, 教授 (40263735)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 二次元構造体 / 環状四量体 / ジオキサボロール環 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の成果より、環状四量体の構造と物性を検討した。単結晶構造解析による母体の構造はR値が10%を超えており解析の精度に問題があった。一方でメチル誘導体はR値5%を切り精度よく解析できていた。両者の構造解析結果を詳細に比較した際、前者の温度因子の異常と解析後残存電子の存在が顕著であった為、結晶中のディスオーダー構造の存在を疑った。そこで、結晶化条件の精査と良質な結晶のより精度の高い回折データを取得し、残存ピークの存在を基にモデルを構築したところ、約20%の分子が鏡像の位置に存在すれば、精度がよくR値も4%以下となり解析を完了できた。また、これまで目視により着目していた蛍光発光を今年度導入した蛍光装置で評価してみた。その結果、可視領域に蛍光は持つが量子収率は然程高くはなく、一般的な傾向として、早く減衰する成分と遅延蛍光が存在することが分かった。 さらに、本研究の最終ターゲットである二次元構造体の合成を徹底的に検討した。前駆体となる2,3,5,6-テトラヒドロキシ-1,4-ベンゼン二ホウ酸の合成は、一応確立していたものの中間体の不安定性や取扱の難しさにより、二次元構造体合成のどの段階が問題であるか明らかではなかった。そこで前駆体の合成と精製を直前に行い、これを二次元構造体合成に用いることで、前駆体やその分解物とは異なる生成物を得ることができた。また、合成条件については、環状四量体の合成条件と最適条件は異なり、用いる酸や反応溶媒、時間を検討した結果、XRDおよびIR測定により、二次元構造体の生成を示唆するサンプルを得ることができている。特にそのXRDは、東北大学金属材料研究所のスーパーコンピュータを用い、周期境界条件を取り入れた構造シミュレーションにより得られた構造より予測したピークを再現しており、少なくとも得られたサンプルの一部は標的の構造体が得ることができたと考えている。
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