2019 Fiscal Year Research-status Report
共鳴による反応性差をトリガーとしたπ共役系高分子の精密合成
Project/Area Number |
19K22211
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
東原 知哉 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 教授 (50504528)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 高分子合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
最先端の医療工学や健康診断技術分野に応用可能な有機薄膜トランジスタデバイスが注目されている。デバイスの重要部材である半導体高分子の合成手法に着目すると、金属やハロゲンを有する芳香族モノマーの遷移金属触媒による重縮合法が採用されている。本提案では、金属やハロゲンを使用しない低環境負荷型かつ共鳴による反応性差をトリガーとした精密重縮合法の開発を目的とした。 実際に、含ホルミルオキシインドールに塩基を添加するとα水素が引き抜かれ、共鳴安定化によりホルミル基の不活性化が起こることに着目し、無単独重合性AB型モノマーの設計とアルドール縮合反応を用いた縮合的連鎖重合法によるポリ(オキシインドリデンチエニレンビニレン)(POTV)の合成を検討した。最初に、オキシインドール及びホルミル基を有する二官能性モノマー前駆体(1)を合成した。1を塩基と反応させることでオキシインドールのα水素を引き抜き、生成したアニオンの共鳴安定化により、不活性化したホルミル基を持つ無単独重合性モノマー(2)が得られると考えられる。ここに活性ホルミル基を有する開始剤を加えることで重合が開始し、反応とともにアニオンの共鳴を失うことで、末端ホルミル基の活性が再生されたモノマー付加体が得られる。この活性末端がモノマー2と反応を繰り返していくことで連鎖的に重合が進行すると考えられる。最適な重合条件を決定するため、溶媒、重合温度、および用いる塩基の検討を行った。LiHMDSを塩基に用い、Toluene/THF混合溶媒中で2時間還流させたところ、高分子量のPOTV(Mn= 5,660,PDI= 3.66)が得られたが、分子量分布が広く、反応は逐次的に進行したと考えられる。そこで反応温度を30℃に設定し、12-crown-4を添加したところ、Mn= 3,470,PDI = 1.45のPOTVが収率65%で得られ、分子量分布に改善が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属やハロゲンを使用しない低環境負荷型による重縮合法の開発により、新規の半導体高分子材料であるポリ(オキシインドリデンチエニレンビニレン)の合成に成功している。また、重合条件の最適化も当初目的どおり行われており、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度については、当初目的に照らし、下記項目に従って研究推進する予定である。 (1)得られたポリマーの一次構造解析および高輝度X線を用いた結晶性、結晶配向性の解析(GPC、NMR、UV-vis、CV、AFM、GISAXS、GIWAXS)の継続 (2)リビング重合性を活かしたドナー・アクセプター型π共役ブロック共重合体の合成 (3)ブロック共重合体の自己組織化構造の解明(AFM、GISAXS) (4)有機薄膜トランジスタの作製および解析
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Research Products
(6 results)