2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of thermo-curing resin gradually degraded to safe metabolites in water
Project/Area Number |
19K22212
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
落合 文吾 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (20361272)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | エポキシ / 生分解 / エステル / グリシド酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
エステル基を有するエポキシドであるグリシド酸エステルを基盤とした、生分解性と高い接着性を両立した新規熱硬化性樹脂を開発した。代謝可能なジオールに由来する二官能性グリシド酸エステルと環状酸無水物の硬化により、硬質の硬化物が得られた。本系は、ほぼ交互的な共重合で進行していることがモデル反応により確認できたことから、硬化物は主鎖にエステル結合を持つことがわかった。 金属および接着困難なプラスチック材料の接着を試みたところ、既存のグリシジルエーテル系硬化物と同等ないしはこれを上回る接着性を持つことがわかった。さらに、硬化物をたい肥中に埋設したところ、60℃において数週間で完全に分解した。この生分解は、対応するグリシジルエーテル系硬化物では起きなかった。また、分解物を1H-NMRスペクトルによって分析したところ、ジオール由来の構造は検出されず、このグリシド酸エステル由来のエステル構造から微生物による代謝が進行したと考えられる。 硬化物の熱特性および力学特性は、酸無水物を変えることで制御可能であった。また、中性の水中およびリパーゼ含有水溶液中での分解は起きなかったが、pHを適切に制御することでも加水分解が進行し、その速度はグリシジルエーテル由来の硬化物よりも速かった。 このように、従来型のエポキシ硬化物と同等の接着性能をもちながら、生分解が可能な新規材料を開発することができた。
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Research Products
(3 results)