2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of Innovative Chemical Modification Method of Amine-cured Epoxy Resin Using B-N Bond
Project/Area Number |
19K22215
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大塚 英幸 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (00293051)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
Keywords | エポキシ樹脂 / 高分子反応 / 化学修飾 / フェニルボロン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
A. 低分子モデル系・均一系と、B. 架橋高分子系の2つのステージに分けて研究を実施した。 (A. 低分子モデル系・均一系)低分子のモデル反応として、単官能性のエポキシ化合物(2当量)とアルキルアミン(1当量)から生成するジエタノールアミン骨格に対してフェニルボロン酸誘導体との脱水縮合反応を試みることから実験を着手した。均一系の反応によって、縮合反応条件の検討、核磁気共鳴(NMR)測定等による構造確認、得られる縮合体の安定性および反応性の確認などを詳細に検討し、反応が期待通りに進行していることを確認した。この結果を受けて、高分子系に展開し、二官能性のエポキシ化合物とアルキルアミンの重付加反応により生成するジエタノールアミン骨格を主鎖中に有する直鎖状高分子に対してフェニルボロン酸誘導体との脱水縮合反応を検討した。均一系において、NMRによるDOAB構造生成の確認と定量、分子量変化、溶解変化などを系統的に評価し、高分子系においても反応が期待通りに進行していることを確認した。 (B. 架橋高分子系)低分子モデル系・均一系で得られた結果を踏まえて、架橋高分子系へと展開を図った。架橋構造を有するエポキシ樹脂中のジエタノールアミン骨格を標的としてフェニルボロン酸による精密化学修飾を行った。さらに、二官能性のフェニルボロン酸誘導体を利用する架橋密度変換を、末端にフェニルボロン酸誘導体を有するポリマーを利用することでグラフト化を、それぞれ検討した。また、反応溶媒系を適宜選択することで、架橋高分子内部あるいはエポキシ樹脂表面への化学修飾条件を探索した。力学物性の評価は、引張試験や熱機械分析に基づき評価を行い、架橋高分子系においても、反応が期待通りに進行していることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
エポキシ樹脂は、3員環エーテルであるエポキシ基を有する多官能性化合物とアミンに代表される硬化剤との重付加反応を利用して合成される架橋高分子である。高強度・絶縁性・耐熱性・耐摩耗性・耐薬品性・接着性など多くの特徴を備えた高性能、多機能樹脂として、接着剤・塗料・電子部品・複合材料など、広汎な用途に利用されている。エポキシ樹脂に関する科学技術はかなり成熟しているが、硬化後の化学修飾や物性変換の難しさ、さらに分解性の低さは長年の大きな課題となっている。本研究では、重合反応によりエポキシ樹脂中に生成する分子骨格にスポットライトを当てて、「エポキシ樹脂イノベーション」を展開することを目指していたが、現在までに当初計画していた研究計画のほとんどを実行することができ、ほとんどの系で期待どおりの研究成果が得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を踏まえて、研究の視野をさらに拡大する計画である。さまざまな分子構造を有するエポキシ樹脂とフェニルボロン酸誘導体との組み合わせで同様の現象が確認されるかどうかを調査する。また、エポキシ樹脂以外でも、B-N相互作用を活用した化学修飾を実現できる可能性があるので、その可能性を追求する計画である。得られた結果を総括し、エポキシ樹脂イノベーションへ向けたマイルストーンとなるような研究成果が期待される。
|
Causes of Carryover |
本研究では、重合反応によりエポキシ樹脂中に生成する分子骨格にスポットライトを当てて、「エポキシ樹脂イノベーション」を展開することを目指している。今年度は、研究が極めて順調に進行したおかげで、最適化部分の研究予算を当初計画よりも少ない金額で実行することができた。これまでの研究成果を踏まえて、次年度は研究の視野をさらに拡大する計画である。さまざまな分子構造を有するエポキシ樹脂とフェニルボロン酸誘導体との組み合わせで同様の現象が確認されるかどうかを調査する計画である。また、エポキシ樹脂以外でも、B-N相互作用を活用した化学修飾を実現できる可能性があるので、その可能性を追求する計画である。当初計画よりも多額の予算が必要となるが、初年度の残予算を効率的に使用することで研究を効率的に推進する。
|