2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of Innovative Chemical Modification Method of Amine-cured Epoxy Resin Using B-N Bond
Project/Area Number |
19K22215
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大塚 英幸 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (00293051)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | エポキシ樹脂 / 高分子反応 / 化学修飾 / フェニルボロン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する多官能性化合物とアミンに代表される硬化剤との重付加反応を利用して合成される架橋高分子であり、関連科学技術はかなり成熟しているが、硬化後の化学修飾や物性変換の難しさ、さらに分解性の低さは長年の大きな課題となってきた。本研究では、重合反応によりエポキシ樹脂中に生成する分子骨格に注目して化学修飾を検討した。 (A. 低分子モデル系・均一系)低分子のモデル反応として、単官能性のエポキシ化合物(2当量)とアルキルアミン(1当量)から生成するジエタノールアミン骨格に対してフェニルボロン酸誘導体との脱水縮合反応を行い、付加体が合成できることを明らかにした。均一系の反応によって、縮合反応条件の検討、核磁気共鳴(NMR)測定等による構造確認、得られる縮合体の安定性および反応性の確認などを詳細に検討した。さらに、高分子系に展開して、二官能性のエポキシ化合物とアルキルアミンの重付加反応により生成するジエタノールアミン骨格を主鎖中に有する直鎖状高分子に対してフェニルボロン酸誘導体との脱水縮合反応を検討し、良好な結果が得られた。均一系において、NMRによるジオキサザボロカン(DOAB)骨格生成の確認と定量、分子量変化、溶解変化などを系統的に評価することができた。 (B. 架橋高分子系)低分子モデル系・均一系で得られた結果を踏まえて、架橋高分子系へと展開を図った。架橋構造を有するエポキシ樹脂中のジエタノールアミン骨格を標的としてフェニルボロン酸による精密化学修飾を行った。さらに、二官能性のフェニルボロン酸誘導体を利用する架橋密度変換を、末端にフェニルボロン酸誘導体を有するポリマーを利用することでグラフト化を、それぞれ検討して良好な結果が得られた。また、反応溶媒系を適宜選択することで、架橋高分子内部あるいはエポキシ樹脂表面への化学修飾条件を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、「低分子モデル系・均一系」と「架橋高分子系」の2つのステージで研究を展開することを計画した。 低分子のモデル反応として、単官能性のエポキシ化合物(2当量)とアルキルアミン(1当量)から生成するジエタノールアミン骨格に対してフェニルボロン酸誘導体との脱水縮合反応に関しては、当初予定していた研究計画は、完全に実施することでき、期待どおりの研究成果が得られた。 また、「架橋高分子系」の実験に関しても、架橋構造を有するエポキシ樹脂中のジエタノールアミン骨格を標的としてフェニルボロン酸による精密化学修飾を行った。さらに、二官能性のフェニルボロン酸誘導体を利用する架橋密度変換を、末端にフェニルボロン酸誘導体を有するポリマーを利用することでグラフト化を実現した。「架橋高分子系」の実験に関しては、より系統的な研究を行う計画であったが、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて、限られた例の実施に留まった。しかしながら、総合的に判断した結果、研究は「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた研究計画は、ほぼ実施することでき、期待どおりの研究成果が得られたので、研究成果のとりまとめと今回得られた研究成果の発展の可能性に関して検討する計画である。
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Causes of Carryover |
新型コロナによる緊急事態宣言期間の延長を受けて、最終年度であったが延長手続きを行った。研究成果のとりまとめと、これまでに得られた研究成果の発展の可能性に関する検討のための予算を使用する計画である。
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