2019 Fiscal Year Research-status Report
ポリマーミセルの精密連結が拓く革新的自己組織化高分子材料の創成
Project/Area Number |
19K22218
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺島 崇矢 京都大学, 工学研究科, 准教授 (70452274)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | ポリマーミセル / 両親煤性ランダムコポリマー / 自己組織化 / 精密重合 / ハイドロゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ポリマーミセルをポリイオンコンプレックス形成により個数/位置選択的に結合する手法を開発する。さらに、この手法を用いてミセルを二量化、重合(交互共重合、配列制御)、三次元積層化、ネットワーク化し、ミセルナノ空間が連結した材料や精密ネットワーク材料を創出することを目的とする。まず令和元年度は、ポリイオンコンプレックス形成によるポリマーミセルの精密連結法の開発を検討した。4級アンモニウム塩(カチオン)or カルボン酸塩(アニオン)を末端近傍に持ち、親水性ポリエチレングリコールPEG鎖と疎水性アルキル基(ドデシル基etc)を側鎖に持つ両親媒性ランダムブロック共重合体をリビングラジカル重合により合成した。得られたポリマーのカチオン性ミセルとアニオン性ミセルを水中で混合し、サイズ排除クロマトグラフィー-光散乱、蛍光エネルギー移動(FRET)、小角X線散乱により球状ミセルの結合構造を解析したところ、これらのミセルが選択的に1:1で結合したダブルコアミセルの生成が確認された。このように、相補的な結合部位を持つランダムコポリマーミセルを混合し、精密にミセルを結合する手法の確立に成功した。さらに、アミノ基部位を2つもつミセルとカルボン酸部位を2つもつミセルを混合すると、これらのミセルが交互に多数連結したネックレスミセルやハイドロゲルを創出できる可能性も見出した。このように、物理的相互作用部位の設計により、ミセルの結合を自在に操ることができることがわかった。これらの成果は、当初計画以上の進展といえ、今後はミセルの精密連結による材料創成に焦点を当てる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和元年度に本来令和2年度以降に検討予定であった多数連結したネックレスミセルやハイドロゲルを創出できる可能性をすでに見出しており、当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、当初の計画以上に進展しており、2年目も計画の通り推進する予定である。
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Causes of Carryover |
令和元年度では、これまでに別途合成していた両親媒性高分子を用いて、目的とするミセル会合体を創出することができたため、新たに分子設計を検討する必要がなかった。そのため試薬購入などに予定していた物品費が必要でなくなり、次年度使用額が生じた。令和2年度では、その次年度使用額をネックレスミセルやハイドロゲルなどの合成試薬の購入(物品費)に当てる予定である。
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