2019 Fiscal Year Research-status Report
Fabrication of Photomobile Materials into Any Size with the Aid of Porous Liquid-Crystalline Polymers
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19K22220
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
池田 富樹 中央大学, 研究開発機構, 機構教授 (40143656)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 架橋液晶高分子 / アゾベンゼン / 光運動材料 / フォトクロミック分子 / ポーラス構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
フォトクロミック液晶高分子は,光照射に応答してマクロな変形を示すためソフトアクチュエーターとして期待されている。従来の光運動材料は高密度クロモフォア系であり,光吸収が試料表層のみで起こるため力発生部位が表面近傍に限られていた。このため必然的に厚さの限界が生じ,大スケール化が困難であった。光運動材料に空間構造を導入すれば剛性の制御のみならず光侵入長の大幅な向上が期待でき,光アクチュエーターの自在スケーリングへの道が拓ける。本研究は,ポーラス型フォトクロミック液晶高分子の創出と,空間構造と光応答性・力学特性の相関解明を目的としている。 まず,発泡法によるマクロポーラス光運動材料の開発をめざし,主鎖骨格にアゾベンゼン部位を有するポリウレタンを合成した。溶媒および溶融プロセスによりフリースタンディングフィルムとファイバーが得られた。これらの試料に紫外光・可視光を照射すると,可逆的な屈曲を誘起することができた。ポリウレタンの光応答性はアゾベンゼン周囲の化学構造に強く依存し,アゾベンゼンとウレタン結合の間に適切なアルキルスペーサーを導入することにより光屈曲速度や可逆性を改善することに成功した。 また,メソポーラス光運動材料の創出を目的とし,アクリレート系架橋液晶高分子への空間構造導入を検討した。アゾベンゼンモノマーと架橋剤を液晶溶媒存在下において重合し,スメクチック相を示すフィルムを作製した。その後,液晶溶媒を除去することによりメソポーラス架橋アゾベンゼン液晶高分子フィルムを得た。このフィルムは従来系と同様の光屈曲挙動を示し,空間構造を有する系において光運動を誘起できることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は,マクロポーラス光運動材料とメソポーラス光運動材料の創製を同時並行で遂行した。ポリウレタン型光運動材料において可逆的な光変形を可能にし,発泡法によるマクロポーラス構造導入に適するポリマーが得られた。また,アクリレート系架橋液晶高分子にメソポーラス構造を導入する手法を確立した。これらの成果は当初計画の目標水準に到達しており,研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020度においては,ポーラス構造と光運動特性との相関について詳細に評価する。前年度に合成したポリウレタンについて,発泡法によりマクロポーラス構造を導入し,光応答性を評価する。本手法においては大スケール化が可能であり,光侵入長制御による出力向上をめざす。メソポーラス系においては空孔サイズの制御手法を確立し,光応答性(光異性化・メソゲン配向変化・マクロ形状変化)への影響を探究する。これらの検討により光アクチュエーターの自在スケーリングをめざす。
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Causes of Carryover |
2020年度にポーラス型光運動材料の合成を行う計画で,使用する試薬類を購入するために少額の未使用額を残した。2019年度未使用分については,2020年度にポーラス型光運動材料の合成に使用する試薬類の購入に充てる。
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Research Products
(33 results)