2021 Fiscal Year Annual Research Report
Generation of cell-based hydrogels as supra-functional materials
Project/Area Number |
19K22223
|
Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
長濱 宏治 甲南大学, フロンティアサイエンス学部, 准教授 (00551847)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
Keywords | 細胞 / ハイドロゲル / 自己治癒 / 接着 / クリックケミストリー / カドヘリン |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは、様々な種類のほ乳類細胞の膜タンパク質糖鎖にアジド基を導入し、次いでアルキンで修飾した水溶性高分子と生体直交クリック反応することで、生細胞を主成分とする「生きているゲル(細胞ゲル)」を世界で初めて作製した。本研究課題では、細胞ゲルの細胞が示す応答を起源として発現する動的応答や創発機能を探索し、その発現機構を明らかにすることに取り組んだ。私たちは特に、細胞の選択的な細胞間結合形成を活用したゲルへの機能付与を検討した。N-カドヘリンを発現するマウス筋芽細胞で2つの細胞架橋ゲルを作製し、容器内で積層して培養したところ、ゲル同士は自発的に接着した。上のゲルと下のゲルの細胞同士がゲル間をまたいでN-カドヘリン依存的な細胞間結合を形成している様子が見られた。細胞ゲルでは、界面で細胞間結合により生じたミクロな接着力がゲルネットワークを通じて集積・統合し、さらにゲル全体に伝播することで、ゲル全体としてマクロな接着力の発生に結びついた。E-カドヘリンを発現する前骨髄球(HL-60)で作製した細胞ゲルとC2C12細胞ゲル間では接着が起こらなかったことから、細胞の選択的な細胞間結合形成機能を活かして、ゲル全体に選択的接着機能を付与することができた。さらに、C2C12細胞ゲルを細断し、ゲル断片を容器内でまとめて培養すると、断片同士は自発的に接着して傷口は修復され、ひと塊のゲルを復元したことより、細胞ゲルは生体組織と同様な機構で自己治癒機能を発現し、まさに「生きているゲル」として振舞うことが示された。また、C2C12細胞ゲルをマウス骨格筋組織に接触させて静置すると、ゲルは骨格筋組織に強く接着することを見いだしており、自家細胞を用いた新規な生体接着剤として応用できないか検討している。細胞の応答を材料の機能として発現可能な本成果は世界初の例であり、本成果は材料設計に新しい知見を与える。
|
Research Products
(8 results)