2019 Fiscal Year Research-status Report
ナノ構造制御による相変化抑制を実現する革新的インサーション材料の創製
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19K22229
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
藪内 直明 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (80529488)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 蓄電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では準安定相試料を原料に用い、結晶構造、結晶子サイズ、結晶粒界をナノスケールで高度に制御したモデル材料を合成し、その充放電反応機構を比較検討することで、ナトリウムイオン電池用の正極材料の相変化に影響する因子の解明を実現を目的とした研究を行う。 本年度はこれまでにナノ構造を高度に制御した各種ナトリウム電池用正極材料の合成を行った。特に、粒界濃度を高密度に上昇させた材料を合成することで、従来の粒界濃度が低いナトリウムイオン電池用の電極材料と比較して、高容量が得られることが確認された。また、粒界濃度を上昇させることで、従来は存在しないと考えられていたナトリウム系岩塩型構造の試料が得られることも確認された。これらの知見は電池の長寿命化に加え、Naイオン電池の高エネルギー密度化と実用化、さらに、Liイオン電池材料への応用も期待できる。将来的には自然エネルギーに立脚したグリーンエネルギー社会の実現に繋がる、インサーション材料科学の革新を実現する挑戦的な新学術を確立に寄与すると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題ではマクロ・ミクロ的要因におけるインサーション材料の劣化機構の抑制の実現するため、学術的な観点からこれら複雑な相変化に影響する各種因子の解明を系統的に進める。そのために、準安定相試料を原料に用いた高度なナノ構造制御を実現する材料合成手法を確立することを目的として研究を行ってきた。これまでに、ナノ構造を制御した種々の新しい材料の合成に成功しており、実際に、高性能な材料が得られることも確認されている。 これらの成果は将来的な自然エネルギーに立脚したグリーンエネルギー社会の実現に繋がると期待でき、さらに、インサーション材料科学の革新を実現する挑戦的な新学術を目指した研究を次年度も進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は様々なナノ構造を制御した材料を合成することに成功した。次年度以降はさらに、結晶構造、結晶子サイズ、結晶粒界濃度を高度に制御したモデル材料を合成し、その充放電反応機構を比較検討することで、ナトリウムイオン電池用の正極材料の相変化に与える因子を解明を実現する。充放電反応機構については、詳細な電気化学的測定に加え、放射光X線回折・中性子回折、高解像度透過型電子顕微鏡による観察によりNaイオンの規則配列を含めて構造を詳細に検討し、局所構造変化は軟・高X線吸収分光法を用いて、遷移金属イオンだけではなく、酸化物イオンによる電荷補償の可能性も含めて検討する。申請者はこれまでにもこれらの手法において多くの測定実績を有しており、来季の測定に向けてビームタイムの確保も出来ている。
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Research Products
(2 results)