2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K22230
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 隆文 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (80650639)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 高圧 / 圧縮率 / 層状構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年1GPaを超える圧力を使った無機化合物合成が一般的になりつつあるが、どのような化合物がどのような圧力で合成できるのかということに関しては明確な指針がないのが現状である。本研究はイオンの圧縮率(すなわち硬さ・柔らかさ)というパラメータを利用することによって、高圧合成法を使った新しい層状化合物の設計指針を打ち出そうとするものである。とくに最近、格子のミスマッチが大きいA2NiO2Ag2Se2 (A=Sr,Ba)やBa2MnO2Ag2Te2が高圧合成(~7GPa)を使えば合成が可能であることを発見した (Angew.Chem.Int.Ed.2019)。これは格子定数の大きなAg2Se2層がNiO2層に比べ圧縮されやすいことに由来すると考えている。R2年度は、合成に関して進展は少なかったが、層状化合物BaTi2Pn2O (Pn = As, Sb)における高圧下の挙動を調べた論文を執筆し、Inorg.Chem.誌に出版した。BaTi2Pn2Oは圧力により異方的に圧縮され約15GPaにおいて、層間に結合を作る相転移を起こすことを発見した。高圧相は常圧にクエンチすることはできなかったが、相転移によって超伝導転移温度が変化する兆候も発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で外部施設での実験ができなかったが、層状化合物の高圧実験に関連した論文を執筆することができ、概ね順調に研究が進んでいるといえる。R3年度はSPring8でのin-situ実験を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
SPring8でのin-situ実験を行い、高温高圧下での反応を直接観察する。また、水素の高い圧縮率を利用した実験も行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で旅費の使用がなかった。物品購入費として、翌年度に活用する。
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