2019 Fiscal Year Research-status Report
柔軟性分子ロータから組み上がる動的ナノ空間による二酸化炭素貯蔵
Project/Area Number |
19K22233
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
犬飼 宗弘 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 講師 (60537124)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 泰斗 京都大学, 理学研究科, 助教 (00631384)
南川 丈夫 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 准教授 (10637193)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
Keywords | 超分子 / 配位高分子 / 固体NMR |
Outline of Annual Research Achievements |
PCP骨格の熱振動・運動や分子ロータに関する研究は限られており、それらの機械的な噛み合い、熱振動・運動による気体分子の吸脱着などの基礎的な知見は皆無である。 令和元年度は、 分子ロータの回転を電場で制御することを試みた。実際に、電場を印可しながら分子回転の回転モードと速度を計測できる特殊NMRプローブを作製した。そして、[Zn(pyrazine)2SiF6]n(SIFSIX3)、[Zn(im)2]n (ZIF-64) (im=imidazolate)、[Zn(5-MeO-ip)(bpy)]n (CID-6) (bpy=bipyridyl, ip=isophtalate)などのMOFに対して電場印可下における回転モードを観測した。結果、電場の有無にかかわらず、配位子の運動に変化が見られなった。今後は、測定するMOFの種類を増やすと同時に、温度を変えながら幅広い運動モードを検出する必要性がある。 また、ガス圧を変えながら高分解能固体NMR測定を行い、気体分子の運動モードの精査を行った。結果、空隙が比較的大きいMOFにおいても、ガス分子同士が密に相互作用している環境下においては、気体分子の運動速度は極めて遅くなることを発見した。気体分子の運動モードを制御する上で、重要な要素になることが予想される。加えて、ラマン・テラヘルツ分光法で振動モードを測定する化合物の探索を行った。その中で、[Zn(pyrazine)2SiF6]n(SIFSIX3)は配位子の回転運動と配位モードの組み替えが両立していることを、高分解能1H, 19F固体NMRによって明らかとなった。令和2年度はこれらのスクリーニングに引っかかった化合物のラマン・テラヘルツ分光法に取り組む。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電場印可か高圧ガス化における固体NMR装置の開発は完了した。また複数種類のMOFに対して、分子ロータの回転モードの計測も完了した。一方、置換基の交換や修飾などの合成の進捗は、X線回折ができるほどの単結晶ができない、また狙った構造のMOFができない、などが要因となり、あまり進んでいない面もある。
|
Strategy for Future Research Activity |
本申請の狙いは、排ガス温度である高温(60 -200℃)のCO2雰囲気下で捕捉したCO2を、貯蔵環境の室温・空気雰囲気下で保持することを実現である。そのため、高温での回転制御や運動モードの解析が必要となってくる。高温かつCO2雰囲気下でのNMRやラマン・テラヘルツ測定ができるような装置開発を行い、昨年度にスクリーニングしたMOFに対して、測定を行うことで、配位子の回転モードの制御に取り組む。そして得られた知見をもとに、金属イオン、配位子、表面修飾などの組み合わせを最適化し、目的を達成するPCPを創する。合成がうまくいっていない部分は、MOFの新規合成の専門としている研究者に意見を仰ぐことで問題点をあぶり出し、目的が達成できるように進めて行く。
|
Causes of Carryover |
予定していた複数種類の配位高分子の合成を次年度に実施することになり、次年度使用額が生じた。本年度の合成に要する試薬の費用を併せて使用する予定である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Journal Article] 錯体結晶の固体NMR2019
Author(s)
犬飼宗弘
-
Journal Title
BULLETIN OF THE NUCLEAR MAGNETIC RESONANCE SOCIETY OF JAPAN
Volume: 10
Pages: 108-111
Peer Reviewed
-
-
-
-
-