2019 Fiscal Year Research-status Report
Syntheses of transition-metal fluorides using solid fluorine sources and control of the stoichiometry
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19K22235
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
稲熊 宜之 学習院大学, 理学部, 教授 (00240755)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | フッ化物 / 固体フッ素源 / 遷移金属 / 高圧合成 / 酸フッ化物 / ストイキオメトリー / 電気化学特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
無機固体の中でフッ化物は、酸化物とともに応用分野において重要な役割を担っている。その電子構造はアニオンの電気陰性度に依存しフッ素が酸素よりも電気陰性度が高いことから、酸化物では実現できない機能の発現が期待できる。一方、フッ化物の合成の困難さゆえに、フッ化物の機能開拓がまだ不十分であり、より簡便な合成法を開発し、新規フッ化物を探索合成することが不可欠である。そこで、本研究では、次世代の電池材料、磁性体、光触媒等の機能性物質の創製と物性制御を念頭に置いて、(1) 固体フッ素源を用いたより簡便な合成法を開発し、新規遷移金属フッ化物の探索を行うとともに、(2) 固体フッ素源を用いることによりフッ素量を調節した遷移金属フッ化物の合成を行い、フッ素のストイキオメトリー、構造および物性の関係を明らかにすることを目的としている。 本年度は、固体フッ素源を用いた合成を中心に研究をおこなった。固体フッ素源と原料を高圧下で反応させることにより、フッ素の揮発を抑えられ、新規遷移金属フッ化物の合成に成功した。このとき、固体フッ素源は、フッ素源であるとともに酸化剤としても働いていることがわかった。得られた新規相についてリートベルト法による構造解析を行い、結晶構造の精密化を行った。現在、電気化学特性について調査中である。さらに、HSAB則を考慮した元素選択に基づき、フッ素源として軟らかい酸のAg+と硬い塩基のF-からなるAgFを用いることにより新規ペロブスカイト型酸フッ化物AgTiO2Fの合成に成功した。光二次高調波発生の実験および放射光粉末X線回折データを用いた構造解析の結果、室温で正方晶、対称心をもつ構造(空間群:I4/mcm)であることがわかった。また、可視光領域のバンド吸収が観測され、Ag-Oの結合の寄与に由来すると考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
固体フッ素源を用いることにより、酸フッ化物を含む新規フッ化物合成に成功し、合成に関してはおおむね順調に進んでいる。固体フッ素源を用いたフッ化物の探索合成およびHSAB則を適用した酸フッ化物の合成のアプローチの有用性を示せたことは意義深い。一方、フッ化物のストイキオメトリーを明らかにするため、化学分析によるフッ素の定量法の確立を目指し、条件検討を行ってきたが、まだ再現性が得られるまでは至っていない。次年度さらに検討を続け、方法の確立を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、固体フッ素源を用いた遷移金属フッ化物の探索合成および構造解析を行うとともに、フッ素量を調節し、ノンストイキオメトリー組成の遷移金属フッ化物の合成を試みる。フッ素の定量分析方法を確立し、XAFS測定などの他の手法と組み合わせて、フッ化物におけるストイキオメトリーや遷移金属の価数を明らかにする。合成したフッ化物について、電気化学特性、磁性、光触媒活性などの物性測定を行い、ストイキオメトリー、構造および物性の関係について考察する。
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Causes of Carryover |
当初購入予定であった設備について、現有の装置で代用できたこと、また、海外での国際会議への参加を予定して海外旅費を計上していたが延期されたことが、次年度の使用額が生じた主な原因になっている。1月に着任したフランスからの博士研究員の任期を2021年1月まで延長し、これらの予算の大部分を翌年分として請求した助成金の一部と合わせ人件費として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)