2019 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis and function analysis of mini-chromosome model
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19K22245
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡本 晃充 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (60314233)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / 染色体 / ヒストン / 化学合成 / 蛍光標識 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでのゲノムDNA研究では、何の修飾もない裸のDNA分子を用いて研究されてきた。実際の細胞の中のDNAは、染色体構造の中でヘテロクロマチン構造を有しており、一部ほどけたオープンクロマチン領域でもそこにはタンパク質が結合していてDNA分子が丸裸でいることは稀だと考えられる。したがって、研究代表者がこれまで細胞内DNAのエピゲノム研究を進めていく中で、真のDNA機能を明らかにするためには、ミニ染色体モデルを作製して、これを用いて研究する必要性に気付いた。しかしこれまでに化学的によく設計されたミニ染色体モデルは作製されておらず、DNA-タンパク質複合体を再構成する研究の困難さを示している。しかしながら、研究代表者はこれまでに、エピジェネティックな修飾を含むDNAの人工合成を可能にしてきただけでなく、ヌクレオソームを構成するヒストンH2A、H2B、H3、H4およびそれらのバリアントの合成を達成している。これらの技術を駆使することによって研究代表者だけがミニ染色体モデルを創出することができると考えるに至った。本研究課題では、長鎖DNAの反応解析に存在する構造上の問題点を解消してゲノム機能研究への発展を誘起するために、人工的なミニ染色体モデルの作製とその作製の要素技術を構築することを目指した。 末端に20bpの突出末端を含む193bp長単位でDNAを合成し、ヒストンオクタマーと共にヌクレオソームを構成した。また、ヒストン結合性タンパク質を捕捉する光親和性基をジアジリン含むヒストンなどの非天然の機能性アミノ酸を含む人工ヒストンを化学合成した。ミニ染色体モデルに導入することによって構造解析や反応解析に活用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者らは、簡便な大型ペプチド鎖合成法を開拓し、これを用いて化学修飾を含むヒストンタンパク質を完全に化学合成した。また、アセチル化、メチル化、リン酸化、蛍光標識などを含んだヒストンの全合成も終えた。これらを用いてヌクレオソームを再構成して、人工ヌクレオソームの構造や熱力学安定性について明らかにしたとともに、蛍光修飾したヒストンがビーズ法によって核内に送り込まれ、染色体に取り込まれていることを確認した。クライオEMによる構造解析も可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
単位ヌクレオソームを配列順に順次、好熱性HiFi Taq DNA リガーゼを用いて連結する。まずは、反応条件を決めて正確に連結できることを確認する。最終的には、およそ20回の連結によって得られる、クロマチンパッキングされた人工長鎖(エピ)ゲノムDNA(およそ4kbp)をダイレクトに作製する。この構造を拡張したミニ染色体モデルの革新的な作成法を確立する。また、作製されたミニ染色体モデルを、東京大学や韓国のクライオEMを活用して構造を確認する。また、これらのミニ染色体モデルを用いて、抗がん剤によるDNA損傷の位置選択性、染色体構造に依存した結合タンパク質の捕捉とMS/MS同定、人為的なヒストン交換の制御、配列選択的なクロマチン安定性の制御に利用する。
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Causes of Carryover |
研究の進捗があったために、想定よりも消耗品費を節約することができた。次年度は生物実験や電子顕微鏡の使用を予定しているので、そのための経費として使いたい。
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Research Products
(22 results)