2019 Fiscal Year Research-status Report
Challenge in computational science toward the identification of the reaction pathway for the formation of nucleic acids-small molecule complexes
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19K22254
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中谷 和彦 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (70237303)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | RNA / 低分子複合体 / 複合体形成過程 / 計算科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
将来極めて有望であり、必ずや創薬研究に必要となるRNAを標的とする低分子創成のボトルネックは、RNA-低分子複合体形成が誘導適合型であるためシミュレーションが難しいことにある。この問題点を解決し、我が国がRNAを標的とする低分子創成研究で主導権を握ることを目的として、最新の革新的計算科学手法「GRRM:Global Reaction Route Mapping」と「DLPNO-CCSD(T)」等の超高精密エネルギー計算を、世界にさきがけて低分子-核酸複合体という巨大分子系に適用し、低分子-RNA複合体形成経路の計算科学による解明を基盤とするRNA標的低分子創成の加速、本領域における主導権の掌握を目指した。 GRRMを用いた具体的な研究実績として、GRRM法のオプションSCW法(2点中間体探索)を用い、NMRで決定された構造と任意の構造を結ぶ中間体の探索を進めた。また、DLPNO法を用いた計算の取り組みとして、先にNMR構造を解析、報告しているナフチリジンーアザキノロンとCAG/CAG複合体のNMR構造をもとに、構造の最適化を実施した。 その結果、GRRMを用いたSCW法による中間体探索では、計算される中間体は見つけられるものの、その中間体が複合体形成過程における重要な意味を持つ中間体であるかどうかの判断が難しいことが判明した。また、計算時間は想定したように計算サーバーを専有しても相当な時間(期間)が必要になることから、計算レベルの再検討、中間体発生方法の再検討を進めている。 DLNPOを用いた構造計算は、所有する計算機においても十分実施可能であることを確認するとともに、今後のデータの基盤となる計算構造を獲得することに成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初から想定されていることではあるが、GRRMによる中間体探索をRNAー低分子複合体に適用した場合、非常に長時間の計算となり、そのために計算の進捗にやや遅れを感じている。計算時間の改善に向けて、計算レベルの調整(少し計算制度を落とす)ことを検討する必要を感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
複合体形成経路の解明については、複合体サイズをより小さくする、計算精度を少し落とすなどにより、精密度はさがるもののラフな複合体形成経路の提案を目指す。 また、中間体の発生方法としては、経験的な想定中間体を用いると同時に、任意性を排除した中間体の発生を試みることにより、計算精度の低下を補完する手法を組み合わせる予定である。 DLNPOによる巨大分子の精密構造計算については、実施可能であることを確認したので、当面は複合体形成経路の探索手法の確立に全力を投入する。
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Causes of Carryover |
計算サーバーとソフトウェアの選定に時間がかかり、次年度に使用することとした。
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