2020 Fiscal Year Research-status Report
新規化学スイッチ機構を用いた超解像イメージングプローブ
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19K22255
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菊地 和也 大阪大学, 工学研究科, 教授 (70292951)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 光スイッチング / 超解像イメージング / 化学プローブ / RESOLFT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新たな蛋白質・合成蛍光プローブのペアを用い、化学原理に基づき蛍光スイッチ機能を持つ超解像イメージングプローブを設計・ 開発することを 目的とする。この目的達成のためには、標的となる生体分子を蛍光色素で特異的に標識し、その色素の蛍光特性を変化させるスイッチ機能が必要である。 今年度は交換可能な蛋白質ラベル化能を有する機能性蛍光プローブの開発を進めた。蛋白質と入れ替わり結合することにより、蛍光スイッチとしてはたらき、その局在を蛍光点滅によって知らせることで1分子単位での検出を可能都市、超解像イメージングへ展開できると考えられる。目的に応じた蛋白質ラベル化プローブの設計にあたり、ラベル化するためのタグとしてOdorant Binding Protein(OBP)を選択した。OBPはバレル構造の内部に疎水性分子を可逆的に結合するポケットを有しており、発現が鼻粘液に限局しているため多くの哺乳類細胞で内在性蛋白質と干渉することなく用いることができる。このポケットに結合するプローブとして、OBPリガンドである脂肪酸に環境感受性の蛍光分子であるジメチルアミノクマリン、及びその誘導体を連結させた分子を合成した。プローブを組み換え蛋白質として精製したOBPと混ぜた際に蛍光強度が大きく上昇することを確認した。また、結合親和性を測定したところ、マイクロMオーダーの結合が見られ、交換可能なラベル化という目的に沿った性質を示すことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交換可能な蛋白質ラベル化による蛍光スイッチングを可能にする新たなプローブ分子の開発を達成できた。蛍光強度、結合能としては適した性質のものが得られており、順調に研究が進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに開発した蛋白質・合成蛍光プローブのペアを用い、化学原理に基づき蛍光スイッチ機能を持つ超解像イメージングへの応用を進める。OBPを用いた蛋白質ラベル化については、ガラス基板上に固定したOBP分子に低濃度のプローブを添加し、蛍光の点滅に由来する1分子イメージングを行う。得られたデータを解析し結合、解離における速度を最適化する。その後、細胞内蛋白質の超解像イメージングへと展開する。加えて、光異性化によって消光能を制御する原理に基づいた新たな蛍光スイッチング分子の開発に取り組む。異性化によって吸収スペクトルが変化する分子を利用し、FRETにおける重なり積分の変化によって蛍光強度がスイッチするプローブを設計、合成する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で出張機会が大幅に減少し、次年度使用額が生じた。次年度では研究推進のための物品購入を中心に使用する予定である。
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Research Products
(13 results)