2020 Fiscal Year Annual Research Report
Roles of lipid anchors and minor components in domain formation in biomembranes
Project/Area Number |
19K22257
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村田 道雄 大阪大学, 理学研究科, 教授 (40183652)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 脂質ラフト / アシル化タンパク質 / 翻訳後修飾 / 境界脂質 / マイクロドメイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本萌芽的研究では、化学的手法によって生体膜のドメイン形成におけるタンパク質の脂質アンカーや微量脂質の役割を調べた。生体膜に生ずる脂質ラフトなどのドメイン構造は、主要脂質の分布に支配されることが多いが、微量脂質が未知のメカニズムでドメイン形成を惹起することも知られている。本研究では、この例として少数の脂質部位(アシル鎖)を含むタンパク質や希少脂質の膜結合によるドメインの形成に焦点を当て、モデル化合物を化学合成することによって、そのメカニズムを解明することを目的とした。希少脂質は、生体内に存在して疾病に関与するものや、免疫系で働くものを含んでおり、生物機能の点でも注目されている。その際に以下の2つのモデル系を想定した。1)翻訳後修飾によってタンパク質に導入された少数のアシル鎖が間隔を置いて脂質膜に結合する場合、2)ドメイン形成に関して数モル%しか存在しない希少脂質が影響を与える場合、これらについてドメイン形成や膜脂質の運動性を評価した。 アシル鎖が2本結合したタンパク質としてLynに着目した。LynはSrcファミリーキナーゼの一種であり、細胞膜内葉の固いドメインに分配されて情報を伝達する。そのモデルとして、脂肪酸2種類が結合したLynのN末端ペプチドを化学合成し、重水素を置換したミリスチン酸を導入した。重水素の信号を固体NMRによって観測した結果、周囲の膜脂質に比べてLynのミリスチン酸は弱い充填(高い運動性)を有していることが判明した。 希少脂質の例として、グルコースの結合したコレステロールおよび糖化セラミドに着目した。主に固体NMR測定によって、希少脂質が与える膜物性への効果やドメイン形成能について調べた。その結果、通常の膜脂質にはない特殊な効果を数モル%で発揮することが分かり、これらが生体膜成分として膜物性に与える影響の重要性を明らかにすることができた。
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Research Products
(5 results)