2020 Fiscal Year Research-status Report
細胞分化におけるCOのシグナル分子としての役割解明
Project/Area Number |
19K22260
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
北岸 宏亮 同志社大学, 理工学部, 教授 (60448090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青井 貴之 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (00546997)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 一酸化炭素 / 細胞分化 / ヘモグロビン / ガス状シグナル伝達物質 / ヘム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,細胞の分化プロセスにおける一酸化炭素の役割を解明するために,我々が開発した人工ヘモグロビンモデル錯体hemoCDを活用する検討を行った。hemoCDとは水溶性鉄ポルフィリンとシクロデキストリン二量体から構成される超分子錯体である。まず本研究を開始するにあたり,hemoCDの合成スケールを向上し,安定的に試薬が入手できる体勢を整えた。その結果,グラムスケールにおいて安定的に試薬を合成する系が確立した。さらに細胞への作用について,我々の研究室において検討し,細胞内一酸化炭素濃度には概日リズムが存在することなどを証明した。その際に細胞内COの定量をhemoCDをつかって正確に行うアッセイを考案した。このアッセイによって細胞内や動物組織内におけるCOを定量できるアッセイが確立し,特許出願するに至った。さらにこのアッセイをもちいて,COの体内動態を明らかにし,Nature系オープンアクセス雑誌Communications Biologyに成果を公表した。一方でコロナ禍において分担者の研究室との往来がままならず,本来の最終目標であったiPS細胞の分化プロセスにおけるCOの役割については,あまり進展が得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本プロジェクトはiPS細胞および分化プロセスにおける一酸化炭素の役割を解明すべく,代表者および代表者の研究室に所属する大学院生が,分担者の研究室へ赴いて共同研究を実施する計画であったが,コロナ禍のために教員および学生の往来がいちじるしく制限された。そのため最終的な目標であった細胞分化における一酸化炭素の役割解明については,十分に検討することができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
科研費のプロジェクトはこれで終了であるが,分担者との協力関係を継続し,コロナ禍においても本研究課題のプロジェクトを進行する体勢をととのえて,本来の最終目標であったiPS細胞からの分化プロセスにおける一酸化炭素のガス状シグナル伝達物質としての役割解明に向けて,研究を継続する。
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Causes of Carryover |
論文オープンアクセス費用の支払いが年度末の締切に間に合わなかったたため,一部を次年度に繰り越した。2021年度では論文オープンアクセス費用(約39万円)および関連する当該研究を進めるために必要な消耗品(試薬類)の購入に充てる使用計画である。
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