2021 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分化におけるCOのシグナル分子としての役割解明
Project/Area Number |
19K22260
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
北岸 宏亮 同志社大学, 理工学部, 教授 (60448090)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青井 貴之 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (00546997)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
Keywords | 一酸化炭素 / ヘム / 細胞分化 / ヘムオキシゲナーゼ / ガスバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,細胞の分化プロセスにおける一酸化炭素の役割を解明するために,我々が開発した人工ヘモグロビンモデル錯体hemoCDを活用する検討を行った。hemoCDは水溶性ポルフィリンとシクロデキストリン二量体の超分子複合体であり,細胞内において一酸化炭素を選択的に除去する性質を示す。そのため,細胞内をCOの疑似ノックダウン状態へと導くことが可能となる。本研究期間の初期には,hemOCDの合成スケールアップを検討し,現在ではグラムスケールで安定して合成できるようになった。今後このhemoCDを企業からの協力のもので市販することを目指しており,COを解明するためのケミカルツールとして将来的に広く活用されることを期待している。一方,細胞内にCOを効率よくデリバリーするために膜透過性を付与した新規CO-releasing molecule (CORM)も独自に合成し,物性評価を行った。こちらについても特許出願を果たして試薬会社により市場に出すことを計画中である。さらに細胞内にてヘムオキシゲナーゼによって分解されてもCOを発生しないように設計した新規メソメチルヘム誘導体も合成し,細胞内でCOが関わるイベントを調査するためのケミカルツールを一通り構築した。これらのケミカルツールを用いれば細胞分化プロセスを含むCOが関与する様々な生理現象を解明することが可能となる。したがって本研究により開発されたケミカルツール群は,COの生理現象を解明するために有効に活用できることが今後期待される。
|