2019 Fiscal Year Research-status Report
”グルコース資化のホモキラリティー”への挑戦!~L-グルコース代謝の進化的検討~
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19K22267
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 顕 筑波大学, 生命環境系, 教授 (10207863)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | L-glucose catabolism / Rhizobiales / Luteolibacter |
Outline of Annual Research Achievements |
1) L-グルコース資化能の普遍性の検討 既知分類群の微生物のうちどのような微生物がL-グルコース資化能を有しているかを明らかにするため、既に分離実績のあるRhizobiales目に属する種の基準株150株をJCMから取り寄せ、L-グルコース最少培地での生育を検討した。その結果、これらの菌株の中ではMesorhizobium acaciae JCM 30534株のみが明確な生育を示し、L-グルコース資化能を有していることが明らかになった。この結果から、L-グルコース資化能は特定の分類群がもつ形質ではなく、特定の株がもつ性質であると考えられる。 2) L-グルコース代謝機構の保存性の検討 L-グルコース資化菌として分離したLuteolibacter LG18株より、L-グルコース代謝の初発酵素(L-glucose dehydrogenase)と2番目の酵素(L-gluconate dehydrogenase)を精製し、それらのN末端アミノ酸配列を決定した。また別途LG18株のドラフトゲノム配列を決定し、両酵素をコードする遺伝子を同定したところ、これらの酵素遺伝子は6遺伝子からなるクラスター中に見いだされた。クラスターを構成する他の4遺伝子は、annotation上は既知のL-glucose代謝経路を構成する酵素と、相同性は低いものの対応付けができることが明らかになった。このことから、これら6遺伝子からなるクラスターでL-glucose代謝経路を構成すると推定したが、3番目の酵素(5-keto-L-gluconate reductase)は該当する基質5-keto-L-gluconateに対して反応しなかった。そのため、これらの6遺伝子のみではL-glucose代謝を行うことができず、他に何らかの酵素が関与することが推定された。現在3番目以降の酵素遺伝子の同定を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)の項目については、L-グルコース資化能は特定の分類群がもつ形質ではなく、特定の株がもつ性質である可能性を示すことができた。今後は異なるアプローチにより、L-グルコース資化能と微生物分類との関連を検討していきたい。 2)の項目については、LG18株のL-グルコース代謝経路の一部を明らかにすることができた。同代謝経路の解析を続けていくことにより、既知の代謝経路との異同について明らかにすることができると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1)の項目については、当初想定していたような、分類群単位でL-グルコース資化能を検討することは難しいと判断したので、今後は自然界から多くのL-グルコース資化菌を分離し、その分類を同定する方向で進めていく予定である。 2)については、LG18株のL-グルコース代謝経路を解明することを目指して研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初は1)の項目で得られた新たな分類群のL-グルコース資化菌のゲノム解析を予定していたが、実際には新規性の高いL-グルコース資化菌を取得するには至らなかった。そのため、ゲノム解析費用を次年度に回すこととした。 2020年度は、自然界からのL-グルコース資化菌のスクリーニングに注力し、新規分類群の候補株を取得して、当初の予定通りゲノム解析を行う予定である。
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Research Products
(1 results)