2021 Fiscal Year Research-status Report
アーバスキュラー菌根菌胞子果の同定分類と有性生殖の探索
Project/Area Number |
19K22269
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大和 政秀 千葉大学, 教育学部, 教授 (00571788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
折原 貴道 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (30614945)
前田 太郎 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (50631404)
山本 航平 栃木県立博物館, 学芸部自然課, 研究員(移行) (60806248)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | アーバスキュラー菌根菌 / 胞子果 / Mig-seq / SNPs / MAT-locus / Rhizophagus irregularis / Diversispora epigaea |
Outline of Annual Research Achievements |
アーバスキュラー菌根(AM)菌はこれまで有性生殖世代が観察されず、本生物群は無性生殖によって繁栄してきたと考えられてきた 。近年、AM菌Rhizophagus irregularisの複数系統についてゲノムが解読され、本種にはホモカリオン(全核型が同一)とダイカリオン(2つの核型が1:1で細胞内に存在する)の2タイプが存在することが明らかとなり、有性生殖の存在が強く示唆されている。AM菌には胞子果(胞子の塊)を形成する種が知られており、大きなものでは数cmのサイズとなる。本研究では、AM菌の胞子果が有性生殖体なのではないか?との 仮説を立て、遺伝子解析によるこの仮説の検証を進めている。 これまでに、すでにゲノムが解読されているRhizophagus irregularisとDiversispora epigaeaの胞子果について、それぞれ複数箇所から胞子果サンプルを得て、単胞子抽出DNAを対象として、Mig-seqによる遺伝構造の解明を行なった。それぞれレファレンスゲノムに対するSNP解析を行ったところ、いずれの胞子果も調査した8胞子間で90%以上のSNPsが共有されており、胞子間のクローン構造が強く示唆された。また、R. irregularisの胞子果形成胞子を対象として、接合型遺伝子座(MAT locus)のHD2領域のシーケンスを行い、既報の塩基配列とともに分子系統解析を行なったところ、いずれも同一クレイドに属するHD2配列が得られ、胞子内、胞子間ともに多型は見られなかった。以上の結果から、本胞子果形成胞子がホモカリオンであることが併せて示唆された。以上の結果は、残念ながらAM菌胞子果が有性生殖体ではないことを強く示唆する結果となったが、この点も新知見であり、胞子果の散布体としての役割などについて併せて考察した論文を現在執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度に引き続き、Rhizophagus irregularisとDiversispora epigaeaの胞子果について、他産地の胞子果サンプルを対象として、Mig-seqによる遺伝構造の解明を行なった。いずれの胞子果も調査した8胞子間で90%以上のSNPsが共有されており、胞子間のクローン構造が強く示唆された。また、R. irregularisの胞子果形成胞子を対象として、接合型遺伝子座(MAT locus)のHD2領域のシーケンスを行い、既報の塩基配列とともに分子系統解析を行なったところ、いずれも同一クレイドに属するHD2配列が得られ、胞子内、胞子間ともに多型は見られなかった。以上の結果から、本胞子果形成胞子がホモカリオンであることが併せて確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
Rhizophagus irregularisとDiversispora epigaeaの胞子果については、クローン胞子によって構成されるとの一定の結論を導くことができ、現在投稿論文の執筆を進めている。また、他にRedeckera sp.の胞子果について解析を進めているが、同属のレファレンスゲノムが存在しないため、こちらについてもRedeckera sp.と同一科(Diversisporaceae)であるDiversispora epigaeaをレファレンスゲノムとして解析を行う予定である。 Redeckera sp.については併せて分子系統解析を行うとともに、形態情報を整理し、記載論文としてまとめていく予定である。
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Causes of Carryover |
初年度に解析手法の開発などに時間を要したこと、コロナ禍でサンプリングが十分にできなかったことなどのため、全体的にスケジュールの遅れが生じ、次年度使用額が生じている。 今後、解析対象をさらに広げるとともに、論文発表などの成果発表に努め、未使用額を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)