2020 Fiscal Year Research-status Report
細胞機能の自由なデザインを実現する革新的細胞の創出
Project/Area Number |
19K22290
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
得平 茂樹 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (90548132)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
Keywords | 細胞分化 / 細胞機能改変 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多細胞性シアノバクテリアAnabaena sp. PCC 7120が形成する分化細胞の機能をゲノムレベルで改変する技術を開発し、外部から導入した代謝経路や人工的にデザインした遺伝子システムのみが機能する人工細胞分化システムの構築を目指す。本研究の目的を達成するためには、分化細胞特異的な遺伝子発現制御系の構築と分化細胞に既存の機能を抑制する技術の開発が必要である。これまでの研究により、分化細胞特異的に遺伝子発現を誘導するシステムを構築することができた。そこで、本年度は分化細胞の既存の機能を抑制する技術の開発を進めた。機能抑制には配列特異的なリボヌクレアーゼであるMazFを利用した。MazFはRNA中のACA配列を認識し切断する。MazFを発現させるとほとんどのmRNAにはACA配列が存在するため、分解・切断される。しかし、人工的にACA配列を除いてデザインした遺伝子のmRNAはMazFによる切断を逃れるため、細胞内のmRNAの大部分を占めるようになり、優先的に翻訳されるようになる。まず、MazFによりACA配列を除去したmRNAが優先的に翻訳されるようになることを確かめるため、大腸菌をホストとし、GFPをレポーターとして実験を行った。その結果、MazFの発現条件下では、ACA配列を除いたgfp遺伝子(gfpP)から合成されるGFP量が、元々のgfp遺伝子から合成されるGFP量よりも高くなることが示された。しかし、MazF発現の効果がまだ充分ではないため、その発現量の最適条件を探索する必要がある。また現在、シアノバクテリアをホストとして同様の実験を進めており、大腸菌での知見を活かし、効率的に研究を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究目的を達成するために必要な研究項目について、それぞれ順次成果が出てきており、順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
大腸菌をホストとしてモデル研究では成果が得られたので、シアノバクテリアをホストとして研究を進める。ただし、MazFの発現量についてはまだ最適条件の検討が必要であるため、同時に進める。
|
Causes of Carryover |
本年度は学会がオンライン開催となったため、旅費の支出がなかった。また、出版費用がかからない雑誌において論文を発表したため、論文出版費用の支出もなかった。研究成果が順調に出ているため、繰り越し金(およそ18万円)は次年度の論文出版費用として使用する。
|
Research Products
(4 results)