2019 Fiscal Year Research-status Report
腸内細菌叢のin vivo再構築による宿主行動および生理機能の解明
Project/Area Number |
19K22295
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
宮崎 亮 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (80712489)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 腸内細菌叢 / ミツバチ |
Outline of Annual Research Achievements |
腸内細菌は宿主の様々な生理機能や疾病に関与し、学術的にも社会的にも大きく注目されている 。しかし、哺乳類の腸内細菌叢は数百種以上もの細菌によって構成されており、そのほとんどは実験室での培養技術が確立していないため、個々の共生細菌の役割、すなわち各腸内細菌と宿主機能の関連性やそのメカニズムを解析する実験モデルとしては不十分である。本研究の目的は、宿主に共生する腸内細菌叢のin vivo再構築系を確立し、個々の腸内共生細菌が宿主の行動や生理機能に与える影響を直接的かつ網羅的に解析することである。研究初年度として、今年度は5種類のミツバチ腸内細菌を培養し、無菌ミツバチへ投与することで腸内細菌叢のin vivo再構築を行う予定であった。当初の予定通り、全組合わせの腸内細菌カクテルを用意し、無菌ミツバチへの摂取ならびに定着の状況を定量PCRやシーケンシングによって調べることができた。その結果、摂取後一定の日数において、全5種類を投与した個体では各細菌の定着が確認できたが、一部の組み合わせでは、十分な細菌の定着が確認されなかった。このことは、腸内細菌叢の安定した定着には細菌同士の相互作用や特定の細菌の機能が必要であることを示唆している。現在は、腸内細菌の組み合わせが異なる各個体の腸切片を複数の部位について作製し、腸内細菌の定着や局在の様子を蛍光in situハイブリダイゼーション (FISH) 法などで視覚的に観察する準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、腸内細菌カクテルの調製と無菌ミツバチへの摂取、ならびに定着の状況を定量解析することはできたが、時間的に腸内細菌の定着の様子をFISH法などで視覚的に観察するまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
腸内細菌叢を再構築した個体でFISHを行い、細菌の定着具合を視覚的に確認する。さらに、各個体の寿命、記憶学習能力等を測定し、腸内細菌と宿主機能の関連性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
書面上は0円となっているが実際は今年度から年間契約を締結したスーパーコンピューター利用費があり、それは納品完了後に次年度の支出額として計上する。当初予定していた腸内細菌叢の外注分析費ならびに実験消耗品に係る費用を、研究機関内に新たに設置された分析機器や共通消耗品を利用することで十分補完することができたため繰り越しが生じた。しかし次年度は腸内細菌叢の解析数が増えるため、翌年分予算と合わせて有効に使用させていただく。
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