2019 Fiscal Year Research-status Report
Creation of new biomass materials using defatted soy protein
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19K22298
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 哲也 北海道大学, 農学研究院, 講師 (70374618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 真路 岡山理科大学, 理学部, 教授 (80443901)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | ダイズ / タンパク質 / 脱脂 / バイオマスプラスチック |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の社会事情において化石燃料から合成されるプラスチックの代替として新素材の開発が世界的に求められている。代替として期待される一つがバイオマスプラスチックである。植物組織に由来するセルロースはその代表的な素材ある。セルロースの水酸基に様々な官能基を導入することでプラスチック化が可能になる。また,タンパク質もプラスチックの材料になり得る。このように,バイオマス素材の可能性は無限にある。ペプチド結合やエステル結合は多糖のグリコシド結合と比べ自然界で生分解を受けやすいと考えられている。そのため,タンパク質を用いたバイオマスプラスチックは極めて環境にやさしい素材である。一方,タンパク質を用いたバイオマスプラスチックはタンパク質の精製に時間とコストがかかる。多糖と比較すると分子量が小さく,アミノ酸組成により性質が異なる。さらに,分子量の小さいタンパク質は多量の架橋剤を必要とするなどの欠点もある。これらの欠点を解決できるタンパク質素材または改善できる方策があるならば,優れたバイオマスプラスチックが創製できる。 そこで,我々は年間2億トン以上産生される搾油後の脱脂ダイズタンパク質を用いた新バイオマススプラスチックの開発研究を提案する。特に,タンパク質の量的および質的に異なる脱脂ダイズへ直接様々な架橋剤を添加することで脱脂ダイズプラスチック素材の可能性を探る。なお,ダイズの素材とその改良を考慮して我々はこれまでに,ダイズの形質転換技術やゲノム編集技術を確立し,ダイズ種子の形態や成分の改変に関する研究を行ってきた。また,有用成分を中心にダイズ遺伝資源の評価も行ってきた。加えて,バイオマスプラスチック創製の基礎技術としてこれまでに多糖,タンパク質,核酸などの生体高分子の材料化に関する研究を行うと同時にこれら素材の構造評価や物性評価,機能評価を行ってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存のダイズ品種に由来するダイズミルから脂質を取り除いたいわゆる脱脂ダイズから架橋剤を加えることでバイオプラスチックの調整が可能であることを実証した。特に,ホルムアルデヒドの架橋によって通常のダイズタンパク質は水中で崩壊するにも関わらず試作したダイズバイオプラスチックは水中でも安定した構造を保つことを明らかした。加えて,試作したダイズバイオプラスチックを酵素処理することでその構造が喪失することも明らかにした。これら一連の成果は学術雑誌に論文として受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者らはこれまでに主要なダイズタンパク質である,7Sグロブリンもしくは11Sグロブリンを欠失させたダイズ系統を作出してる。これらのダイズはタンパク質組成が大きく異なるため構成するアミノ酸組成も異なる可能性がある。そこで,これらダイズ系統のアミノ酸分析を行うと共に脱脂ダイズを準備し,これらのタンパク質を利用してダイズバイオプラスチックを試作すると共にこれらのプラスチックの物性評価を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究が思いのほか早期に成果が出て論文化することができたため,材料養成にその時間を充てたことによって研究資金に余剰が出た。しかしながら,これらの資金は次年度の分析・解析費として全て使用する予定である。
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Research Products
(1 results)