2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K22315
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
中村 茂雄 宮城大学, 食産業学群, 教授 (20500937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板橋 建 宮城県農業・園芸総合研究所, 園芸環境部, 研究員 (10537848)
大坂 正明 宮城県農業・園芸総合研究所, 園芸環境部, 技師 (20739685) [Withdrawn]
進藤 友恵 宮城県農業・園芸総合研究所, 園芸環境部, 技師 (90881590)
毛利 哲 宮城大学, 食産業学群, 准教授 (90503615)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 植物ウイルス / 虫媒伝染性 / 栄養成分 / 花色 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、植物ウイルス病の直接的防除法である弱毒ウイルス(ウイルスワクチン)の新たな展開として、その感染により野菜の栄養・機能性成分を高めるものや、花きの観賞価値を高めるものなどを分離・選抜し、作物に付加価値を与える植物ウイルス利用技術の開発を目的としている。本年度は初年度に引き続き、自生する植物からの新規ウイルスの探索と、分離ウイルスの栽培植物に対する病原性およびアブラムシ伝搬性の調査、さらに野菜類品質評価法の改善を行った。 ウイルス探索については、キュウリモザイクウイルス(CMV)を対象に、昨年度実施できなかった春季から夏季に重点を置き、宮城県内2地区の農地周辺の野草や樹木から671検体(前年度と併せて937検体、73科150種以上)の葉を採取した。血清学的手法および遺伝子増幅によるスクリーニングの結果、937検体のうち15検体がCMV陽性であった。陽性個体から単病斑分離法により5株のCMVを分離し、その遺伝子塩基配列の一部を比較したところ、同じ配列のものはなく、いずれも既知の分離株とは異なる新規分離株であった。これら新規分離株は、ナス科数種作物に対する病原性およびアブラムシ伝搬性は分離株ごとに異なっており、比較的病原性が弱い分離株も得られた。このように同一地点に自生する植物であっても多様な塩基配列のCMVが存在しており、多様な分離株を得る資源として野草等は有効であることが確認できた。野菜類の品質評価については、トマトのリコピン、糖分、有機酸類測定方法の改善を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に実施できなかった春季のウイルス探索を精力的に行い、検定件数はほぼ目標(1000検体)に達した。野草から検出されるウイルスの陽性率についても概ね想定通りであり、性質の異なる5株のCMVを得ることができた。ウイルス探索がずれ込んだことにより、ウイルス分離に至っていない陽性検体もあるが、さらなるウイルス分離と並行して当初予定の調査・分析を進めることにより、3年目の研究を予定通り遂行できる。
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Strategy for Future Research Activity |
分離途中の試料もあるため、次年度も継続してウイルス分離株の獲得を試みる。また、これまでに分離したウイルス株を幅広い野菜類・花き類へ接種し、病原性および品質評価を行うとともに、品質の変化につながる宿主遺伝子の発現解析を実施する。さらに、分離したウイルスの実用化の可能性を探るため、複数種のアブラムシを用いて伝搬性を詳細に調査する。
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Causes of Carryover |
参加学会がオンライン開催であったため旅費が不要になったことなどによるものである。3年目もウイルス探索を継続することとしており、その試薬・消耗品の購入に充てる予定である。
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