2019 Fiscal Year Research-status Report
プラズマ法を用いたフロリゲンタンパク質直接導入による早期開花誘導系の確立
Project/Area Number |
19K22319
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
光原 一朗 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 主席研究員 (80370683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西谷 千佳子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, 上級研究員 (10370553)
沖野 晃俊 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (60262276)
柳川 由紀 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 特別研究員 (90432591)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 花芽形成 / 早期開花 / プラズマ / フロリゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
常温大気圧プラズマ処理によるフロリゲンタンパク質導入による遺伝子導入を必要としない早期開花誘導系のモデルとして、リンゴ培養Shootを対象としてフロリゲン(GFP::FT融合)タンパク質導入条件の検討を行った。リンゴ栽培種(王林、グリーンスリーブス)の培養Shootを、CO2, N2をプラズマ源とする既設のプラズマ発生装置を用いて25℃前後に調整した常温大気圧プラズマで処理後、GFP::FT融合タンパク質溶液に一晩浸漬した後、コンフォーカルレーザー顕微鏡を用いてGFP蛍光を指標にタンパク質導入の成否を検討した。5秒以内のプラズマ処理であればリンゴShootに明確なダメージは認められないが、10秒以上ではShootにやや褐変が認められた。GFP取り込みに関しては、N2プラズマ5秒間の処理でGFPの細胞内への取り込みが確認され、植物材料としては黄化(暗所生育)させたグリーンスリーブスのShootで比較的良好な取り込みが認められている。 現在、フロリゲン(GFP::FT融合タンパク質)導入によるリンゴ培養Shootにおける遺伝子発現応答の有無をMADS box geneなどを指標に解析している。 なお、光原及び柳川がプラズマ処理によるGFP::FTタンパク質導入実験を行い、導入対象となるリンゴ培養物は西谷らが育成したものを用いている。また、プラズマ装置の調整は沖野らが行い、GFP::FTタンパク質の大量調整は加藤らが担当している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおりリンゴ培養shootの茎頂へのタンパク質導入に成功している。次の段階としてフロリゲン導入により植物体の遺伝子発現応答の解析に着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
フロリゲン導入によるリンゴ培養shootの遺伝子発現応答を確認し、フロリゲン処理の際の濃度条件を検討するとともに、効果の持続期間を確認する。花芽形成促進には一定期間のフロリゲン刺激が必要と思われるため、可能な限り持続期間の長い処理条件を模索しつつ、プラズマ法によるフロリゲン導入を複数回に分けて行う等の処理方法を検討する。 有望な処理条件を策定したうえで、shootの形態変化などを含めた花芽形成誘導の成否を検討する。
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Causes of Carryover |
リンゴをプラズマ処理について、所属機関の経費によって購入した装置で良好な結果が得られたため、あたらにプラズマヘッドを導入する必要がなくなったこと等から、2019年度に予算に余裕が生じた。一方で、フロリゲン導入による遺伝子発現応答の解析の為、2020年度には消耗品および賃金が必要となるため、年度を繰り越して使用することとなった。
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