2019 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の小型・早期成熟化技術の創出-海産魚の発生工学と育種の時短に向けて-
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19K22323
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 徹 東北大学, 農学研究科, 教授 (70344330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇治 督 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 増養殖研究所, 主任研究員 (40372049)
横井 勇人 東北大学, 農学研究科, 助教 (40569729)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2020-03-31
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Keywords | 水産増養殖 / ゲノム編集 / 遺伝子導入 |
Outline of Annual Research Achievements |
私達は、ヒラメ・カレイ類の一種であるササウシノシタが海産魚の中では小型の部類であり、かつ産卵期間が長いことに着目し、海産魚のモデル生物として利用するための研究を進めている.これまでに周年産卵システムや研究用小型飼育システムを立ち上げるなど準備し、現在、養殖魚の種苗生産で問題となっている体色や骨格の形態異常の発生機序について研究を行っている。より分子レベルで踏み込んだ研究に着手するために、発生工学や遺伝学の技術を使いたいと望んでいるが、受精から産卵まで1年と世代サイクルが長いことが障壁となっている。似たように大型の養殖対象魚種はいずれも産卵までの期間が3年と長く、育種が難しいという問題がある。 私達は、上記の研究と並行して、ゼブラフィッシュを使って、成熟雌への腹腔内注射によるゲノム編集技術の開発を行っており、実用化に近づいている。このような背景から、「開発中のゲノム編集技術を使って、ササウシノシタを小型・早期成熟化し」、ゼブラフィッシュ並に便利なモデル生物に改変することを着想し、そのための計画を立案した。本研究は、養殖対象魚の育種を省スペース・時短化するための試験研究としての意義も大きい. 本年度は、3つの課題を検討した。ゲノム編集を進めるためには、ゲノムDNAとcDNAの塩基配列情報の整備が必須であるので、第一の課題では、次世代シーケンサーを使って、ササウシノシタのゲノムDNAと全遺伝子のcDNAの塩基配列の解読を試みた。2番目に、ササウシノシタの雌親魚の腹腔に注射して、プラスミドを卵母細胞に導入できるか検討した。3番目に、ササウシノシタの成長ホルモン遺伝子(GH)を標的としたCRISPR/Cas9プラスミドを作成して、雌親魚の腹腔に注射し、GH遺伝子のノックアウトを試みた。
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