2020 Fiscal Year Annual Research Report
貝殻の貝柱接着面で形成される光輝層における筋タンパク質の機能解析
Project/Area Number |
19K22331
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
舩原 大輔 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (00335150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 道生 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10647655)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | アコヤガイ / 光輝層 / 炭酸カルシウム結晶 / パラミオシン / 閉殻筋 / アラゴナイト / 免疫染色 / 真珠層 |
Outline of Annual Research Achievements |
二枚貝では閉殻筋と貝殻が強固に接着している。その分子メカニズムを解明するために、アコヤガイを対象として貝殻の閉殻筋接着面にみられる結晶構造である光輝層の形成メカニズムについて解析した。昨年度には、筋タンパク質の1つであるパラミオシンが光輝層に存在し、パラミオシン存在下で行った炭酸カルシウム結晶形成実験では柱状のアラゴナイト結晶が形成されたことから、パラミオシンが光輝層形成に関与している可能性が示された。そこで、本年度は炭酸カルシウム結晶形成実験をさらに詳細に行うとともに、アコヤガイ貝殻中におけるパラミオシンの分布を調べた。種々の濃度のパラミオシン存在下で、アラゴナイト形成条件で炭酸カルシウム結晶を形成させたところ、アラゴナイトの大きな結晶が形成された。形成された結晶の内部構造を電子顕微鏡で観察したところ、光輝層に似た構造が認められた。アコヤガイ・パラミオシンのC末端領域のペプチドを抗原として、抗アコヤガイ・パラミオシン抗体を作製した。この抗体の交差性を確認したところ、パラミオシンを特異的に認識した。この抗アコヤガイ・パラミオシン抗体を用いて、光輝層を含む貝殻を蛍光免疫染色したところ、真珠層に挟まれて存在する光輝層だけが染色され、パラミオシンが貝殻の中では光輝層にのみ存在することが示された。本年度の研究の結果、昨年度明らかとなったパラミオシンが光輝層形成を制御している可能性を強く支持する知見が得られた。
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