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2021 Fiscal Year Research-status Report

Elucidation of the iron metabolism mechanism for geomagnetic sense

Research Project

Project/Area Number 19K22341
Research InstitutionFisheries Research and Education Agency

Principal Investigator

山下 倫明  国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 教授 (80344323)

Project Period (FY) 2019-06-28 – 2023-03-31
Keywords地磁気感覚 / 鉄微粒子 / ICP-MS / ゼブラフィッシュ / カタクチイワシ / 回遊
Outline of Annual Research Achievements

無機鉄として,生物体内から磁性微粒子 (主成分Fe3O4) が発見されている。磁性細菌は細胞内に40~60 nmのマグネタイトが連なったマグネトソームを保持しており,地磁気を感知して遊走することが知られている。サケ科魚類や渡り鳥など,地球規模での移動を伴う生物は地磁気感覚を有し,磁気感覚器の存在が推定される。磁場における行動試験によってゼブラフィッシュやモザンピークティラピアは,磁気感覚を有することが報告されている。そこで,本研究は,ゼブラフィッシュおよびカタクチイワシ仔魚を材料として,SDSおよびプロナーゼを含む溶液中で加熱分解したのち,磁気スタンドを用いて磁性微粒子を単離した。
ゼブラフィッシュ胚(受精5日後)またはカタクチイワシ仔魚(体重10 mg, 体長8 mm)に対して, 0.5% SDS, 10 mM CaCl2および2 mg/mlプロナーゼを含む0.1 M Tris HCl (pH 7.5)緩衝液を添加して,乳鉢を用いて磨砕した。一晩 60℃で加熱し,プロナーゼ消化によって可溶化した溶液から,磁石スタンドを用いて鉄微粒子を回収した。誘導結合プラズマ質量分析計 (ICP-MS7900,アジレント) を用いて, Fe-56 を検出した。
ゼブラフィッシュおよびカタクチイワシの仔魚から精製した鉄微粒子はシングルパーティクルICP-MSによる分析の結果,25-30nmを最頻粒径とする酸化鉄粒子が検出された。質量濃度は 0.06-6.5 ng/L, 定量範囲は0.004-0.015ppbであった。ゼブラフィッシュ仔魚は1万尾を1回の分析に用いたことから,1尾の魚体につき,平均4.5個の鉄微粒子が存在することが算出された。
以上の結果から,生物の地磁気応答への関与が推定される鉄微粒子が単離された。魚類や高等動物の行動や回遊などの生理・生態現象における磁気感覚の存在と重要性を示す根拠となる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

新規の鉄微粒子の存在が魚類に分布することが確認された。魚類だけでなく,鳥類,哺乳類などにも研究対象を広げることによって,高等動物に普遍的な物質および生理機能であるかどうかを調べることができる。鉄代謝に関連するタンパク質および遺伝子群を解析中であり,それによって,磁気感覚の物質的根拠を得ることができる可能性が考えられる。モデル動物を用いて,磁気感覚のバイオアッセイ系を確立することによって,このような鉄微粒子が磁気センサーとして機能することを解析することができる。

Strategy for Future Research Activity

魚類だけでなく,鳥類,哺乳類なども研究対象として用いて,魚類と同様に鉄微粒子の生成や生理機能との関連性を解析することができる。これにより,今回見つかった鉄微粒子が高等動物に普遍的な物質であることが確認できる。鉄微粒子に含まれるタンパク質の構造解析によって,鉄微粒子の代謝に関連するタンパク質および遺伝子群を同定することが可能であると考えられる。現在解析中であるが,ゼブラフィッシュなど全ゲノムの解析が進んでいるモデル動物を用いることによって,鉄微粒子の代謝過程に関与する遺伝子群を明らかにされ,他の高等動物の磁気感覚に関する研究の展開に活用できる。磁気感覚の物質的根拠を得ることができる可能性が考えられたことから,モデル動物や人体を用いて,磁気感覚のアッセイ系を確立することによって,このような鉄微粒子が磁気センサーとして機能することを解析することができる。

Causes of Carryover

当初計画の遅延および補助事業の目的をより精緻に達成するための研究の実施のため,補助事業期間の1年間を申請した結果,研究期間の延長が認められたため。

  • Research Products

    (2 results)

All 2022

All Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] ゼブラフィッシュおよびカタクチイワシ仔魚からの磁性微粒子の単離2022

    • Author(s)
      田中直之,柳瀬有希,本多穣宇,野田竜雅,松岡ゆかり,伊藤真由,田中秀樹,植田ひまわり,木下佳奈,濱中崇,大谷宗資,山下倫明,世古卓也,今村伸太朗,中野かずみ,島村佳典,宮下和彦
    • Organizer
      第22回マリンバイオテクノロジー学会
  • [Presentation] 魚類の脳に由来する鉄微粒子の検出―地磁気感覚への関与を探る2022

    • Author(s)
      大谷宗資,山下倫明
    • Organizer
      第22回マリンバイオテクノロジー学会
    • Invited

URL: 

Published: 2022-12-28  

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