2020 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of the rapid culture method using inert solvent
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19K22347
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 雄一 京都大学, 農学研究科, 准教授 (20373285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 昌彦 東北大学, 農学研究科, 教授 (70218642)
菊池 正二郎 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (70381960)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 微生物 / フルオロカーボン / 近接センサアレイ / 増殖能 / 出芽酵母 |
Outline of Annual Research Achievements |
“細菌”は,生態系を支えるミクロな生物としての側面やバイオマスでのエネルギー生産,発酵食品の製造,我々の体内でも共生関係によって体内バランスを整えることに貢献している極めて重要な生物である。細菌分析技術は目覚ましい進歩を遂げているが,この前処理となる細菌培養は寒天培地に播種するといった極めてローテクな方法に依存している。ポストハーベスト分野においても,細菌の迅速な検出は農産物のロス低減や食品加工現場での安全面のチェック,食の安全安心に貢献できる重要な技術であるが,菌の同定が必要な場面では,やはり培養に時間を要する。そのため,培養時間を短縮することができると,様々な場面で利活用できると期待される。そこで我々は,フルオロカーボン(FC)を用いた迅速培養法の開発を目指し,そのメカニズム解明に要する技術開発を試みた。 さまざまなFCによる細菌増殖実験から,増殖効果は酸素だけでなく窒素を添加した場合でも確認され,基本的な実験手法の手順を構築し,別機関においても再現性を確認することができた。さらに,対象を出芽酵母にしたところ,FC添加状態は,好気呼吸に影響を与えているとの結論を得た。また,より安定的な評価系の構築が重要であるとの着想を得て,近接アレイセンサを用いた細菌増殖モニタリング技術を開発した。さらにFCと近接場センサの特性を利用した封止型細菌検査方法を提案し,特許を出願した。培地中の成分(アミノ酸,糖,有機酸等)の組成について,LC-MS/MSで分析したところ,FCなしに比べてタンパク質合成に使用される成分が減少しており,細胞分裂促進因子に増加が認められた。この結果は増殖促進の結果の変化として捉えられるが,今後はミュータントライブラリを持つ出芽酵母を対象とし,開発した評価系と組成分析から,FCの添加による詳細なメカニズム解明が可能になるとの知見を得た。
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