2020 Fiscal Year Research-status Report
脳の高次機能解析のための神経細胞内局所翻訳型ウイルスベクターの開発及び応用
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19K22353
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
好井 健太朗 長崎大学, 感染症共同研究拠点, 教授 (50421988)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 局所翻訳 / フラビウイルス / ウイルスベクター / 脳の高次機能 / 神経変性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
長く伸びる神経突起を持つ神経細胞では、一部のmRNAを細胞体で翻訳するのでは無く、神経突起上に輸送し、刺激に応じて局所的に翻訳し蛋白を供給する(局所翻訳)。この機能が、脳における認知・記憶・学習等の高次生命機能に重要であると考えられている。しかし、そのメカニズムの詳細については、解析が困難で不明な点が多い。研究代表者たちはこれまでの研究から、特定の神経向性フラビウイルスでは、ウイルスRNAが神経突起内を局所翻訳機構により輸送・翻訳されている事を明らかにした。そこで本研究では、この局所翻訳利用のメカニズムを解析していく事で、局所翻訳特異的な発現ベクター開発のための基盤を構築することを目的とした。 本年度の研究では、神経向性フラビウイルスとしてダニ媒介性脳炎ウイルス(TBEV)を用いた外来遺伝子発現ベクターとして応用するために、リバースジェネティクス法を用いて蛍光蛋白質を発現するウイルスを作製した。作製したウイルスを培養細胞に感染させた所、感染細胞内で蛍光蛋白質の発現が認められた。さらにウイルスを回収し、培養細胞で複数回継代培養を行い、継代による蛍光蛋白遺伝子の欠損等を検証したが、5代継代した後も安定してウイルス蛋白の発現が認められた。 またウイルスの増殖よる脳内の神経細胞に対する影響を解析するために、複数のTBEV自然界分離株をマウスに感染させ、感染後の脳内の病理学的な解析を行った。この結果、特定のウイルス株において神経細胞内で神経突起上へのウイルス抗原の特異的な分布が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスのために、研究消耗品の購入に遅れが生じ、また予定していた海外研究者との共同研究が実施できなかったため、一部の実験の実施に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
神経向性フラビウイルスを利用したウイルスベクターへの応用を図るため、外来遺伝子発現ウイルス等の動物モデルにおける検証を進め、その安全性や有用性に関する検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行のため、当初予定していた物品の購入に遅れが生じ、また海外研究協力者からの技術支援・研究試料供与を受ける実験が実施できなかった。 次年度使用額については、購入できなかった研究用消耗品の購入及び、海外研究協力者の所属機関への旅費として使用する予定である。
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