2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K22355
|
Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
福本 晋也 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 准教授 (50376422)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
Keywords | マラリア原虫 / ヴェノム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では哺乳動物・節足動物の両ステージを実験室内で再現可能である、ネズミマラリア原虫-ハマダラカ媒介モデルを用いて、ヴェノムによる殺ベクター型原虫作製を目指す。現在までの研究によりミツバチメリチン遺伝子を外来遺伝子として導入した組換えマラリア原虫の作製・クローニングを行った。しかしながら表現型解析の結果、メリチン原虫の殺ハマダラカ効果は低く、またメリチン転写抑制の存在も示唆された。 より高い殺ハマダラカ効果を期待し、サソリ由来毒素TF2発現原虫を作製し、ハマダラカ感染表現型の解析を行った。その結果、メリチン発現原虫と同様に毒素遺伝子の転写抑制が起きていることが示唆された。すなわち、効果的な毒素発現原虫の作製には転写抑制機構の回避もしくは、転写産物を原虫ではなく、蚊に翻訳させるシステムの導入が効果的ではないかと示唆された。 毒素発現原虫のスポロゾイトのマウスへの感染性を解析したところ、有意な感染性低下が確認された。この結果はワクチン用不活化スポロゾイト産生システムへの応用が期待されるものであった。またこの解析に付随し、マラリア原虫グリオキシラーゼが蚊からマウスへの感染に重要な機能を持つことを明らかにした。毒素発現マラリア原虫スポロゾイトを投与したのちに、野生型スポロゾイトを投与するワクチン実験を行った。その結果、組換えスポロゾイト投与量依存的に、野生型スポロゾイトの感染を防御した。すなわち、毒素発現マラリア原虫は新規生ワクチン原虫作製システムとして有用であることが示される結果が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
安定的に毒素遺伝子発現原虫を作製可能なシステムの開発には成功したものの、毒素発現原虫の殺ハマダラカ効果は低く、本来の目的とするレベルの組換え原虫作製に至っていないため。しかしながら、本システムによる組換え原虫が、全く新たな概念による生ワクチン作製法に繋がるのではないかと期待される結果が得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本システムによる組換え原虫が、全く新たな概念による生ワクチン作製法に繋がるのではないかと期待される結果が得られていることから、その効果について注目し、さらなる解析をすすめる。
|
Causes of Carryover |
学会参加予定および研究打合せ予定の新型コロナウイルスを理由とするキャンセルによる旅費の余剰が発生したため。また、期待していたレベルの殺ハマダラカ効果を誘導できなかったため、関連する表現型解析に関する消耗品費等に余剰が発生した。 ヴェノム発現原虫による生ワクチン作製系の評価のための消耗品費および人件費として充当する予定である。
|