2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K22358
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原 健士朗 東北大学, 農学研究科, 准教授 (60551546)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 精子幹細胞 / 精巣 / 精子形成 / 精原細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ほ乳類精巣における精子幹細胞の遊走現象の役割を検討することである。精子幹細胞の性質に関する知見は、基礎的な雄繁殖能の理解に留まらず、産業・実験動物でしばしば問題となる雄低妊孕化の原因究明とその対処の応用研究においても重要である。しかし、生体内での幹細胞挙動の知見は少なく、研究は十分に進んでいない。これまでに代表者らのグループは、マウス精子幹細胞がダイナミックに動くことを見出していた。これはニッチ係留型の幹細胞とは異なる幹細胞の性質であったが、精子幹細胞が動くことの生物学的役割は殆ど不明である。R2年度は、前年度に引き続き、精子幹細胞の遊走を阻害する実験系を構築するため、細胞骨格制御因子阻害マウスの解析を行ったが、組換え効率が低いという問題が生じ、阻害影響を十分に検討するまでに至らなかった。また、当初の研究計画で予定していた細胞接着遺伝子欠損マウスについても、社会情勢により導入が半年以上遅れたために解析まで至っておらず、本課題後に継続して解析を進める予定である。以上のように、当初の計画にあった遺伝子改変マウス解析は遅れてしまったが、一方、一連の解析からスピンオフする形で明らかになったこととして、幹細胞が移動の足場となる基底膜タンパク質を分泌していることを見出した。精巣組織内での発現パターンを、免疫組織化学、細胞単離後の遺伝子発現解析、さらにはin situハイブリダイゼーション解析に供し、特定の遺伝子が出生後から成体期に至るまで幹細胞の細胞系譜で発現を維持していることが示唆された。移動する幹細胞が自らの移動場の維持に寄与する可能性を示唆するもので、基底膜ホメオスタシスへの寄与が幹細胞が移動することの役割のひとつとなる可能性が考えられた。特定した遺伝子の機能解析については、今後の重要課題として検討していく予定である。
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[Journal Article] Spermatogonial asynchrony in Tex14 mutant mice lacking intercellular bridges.2020
Author(s)
Rezende-Melo, C.A., Caldeira-Brant, A.L. Drumond-Bock, , A.L. Buchold, , G.M., Shetty, G., Almeida, F.R.C.L. Matzuk, M.M., Hara, K.. Yoshida, S.. Meistrich, M.L. Chiarini-Garcia, H.:
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Journal Title
Reproduction
Volume: 160
Pages: 205-215
DOI
Peer Reviewed
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