2021 Fiscal Year Annual Research Report
金ナノ粒子とレーザー光を利用した受精卵の分化制御機構の解明
Project/Area Number |
19K22364
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南 直治郎 京都大学, 農学研究科, 教授 (30212236)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
Keywords | 受精卵 / 金ナノ粒子 / ヒートショックプリモーター / 遺伝子発現制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、熱処理による遺伝子発現制御を確認するモデル動物として、ゲノム編集技術を用いたノックインマウス作製を試みた。ヒートショックタンパク質プロモーター下流にGFPを連結した遺伝子(HSPPro-GFP)をROSA26領域へ挿入するため、ROSA26配列のホモロジーアームを持つドナープラスミド、Cas9およびガイドRNAと共にICRマウスの1細胞期胚の前核に顕微注入した結果、20-30%の受精卵に目的配列がノックインされていることを確認することができた。そこで、B6マウスの1細胞期胚の前核に同様に顕微注入を行い、ICR偽妊娠マウスに胚移植を行ったが、生まれた19匹のマウスのうちHSPPro-EGFPを持つ個体は1匹だった(約5%)。また遺伝子型解析により、生まれた個体では目的配列がROSA26領域に挿入されていないことがわかった。HSPプロモーターは熱刺激がない状態ではヘテロクロマチンを形成することが予想されることから、通常クロマチンが緩んだ状態であるROSA26領域にHSPプロモーターが挿入されたマウスはクロマチン構造が変化し、致死となる可能性が考えられる。 また、昨年度はPVPでコーティングされた金粒子(PVP-GNS)を受精卵の細胞質に顕微注入することにより、受精卵への毒性を低減させることが明らかになったため、今年度はPVP-GNSを顕微注入した受精卵に顕微鏡下で近赤外線レーザーを照射する実験を行った。レーザー照射は、オイル被覆した培養培地の中に受精卵を配置し、5%のCO2濃度を維持した恒温装置の中で行った。PVP-GNSを顕微注入した受精卵ではレーザーを照射した割球のみで細胞内の水分が蒸発したことが確認できた。これらの結果から、PVP-GNSを導入した受精卵において近赤外レーザーによって割球特異的な遺伝子発現制御が可能であることが示された。
|