2019 Fiscal Year Research-status Report
性染色体上ヒストン脱メチル化酵素活性転換マウスの作製と性分化への影響
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19K22369
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩森 巨樹 九州大学, 農学研究院, 准教授 (70647362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩森 督子 九州大学, 医学研究院, 助教 (10711509)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 性決定 / UTX / UTY / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳動物における雌雄の性決定は性染色体の遺伝的性により決定され、Y染色体上の遺伝子Sryが雄性性決定遺伝子として同定されている。しかし、Sryは哺乳類特有の性決定遺伝子であり、単孔類や一部の齧歯類、他の種類の動物ではSryが存在せず、別の制御機構の存在が示唆される。 本研究では性染色体上に位置するヒストン脱メチル化酵素UTXおよびUTYに着目する。UTXおよびUTYは高い相同性を持ち、UTXはヒストンH3リジン27(H3K27)を脱メチル化する。UTYは脱メチル化活性を持たないとされていたが、最近弱い脱メチル化活性を持つことが報告され、さらに、UTX欠損メスマウスが胎性致死となるのに対し、UTX欠損雄マウスが誕生することから、UTYには何らかの機能があることが示唆される。また、メチル化H3K27を認識し、遺伝子発現を抑制するCBX2の欠損マウスでは雄→雌の性転換が起こるほか、最近、別のH3K27脱メチル化酵素JMJD3が爬虫類における温度依存的性決定を制御することが報告され、H3K27メチル化制御が種間のみならず、性決定様式をも超えた成文化制御に関与することが示唆される。そこで、本研究ではUTXおよびUTYの異なるH3K27脱メチル化活性が成文化制御に関与するかどうか明らかにすることを目的とする。 これまでにUTXおよびUTYの立体構造およびアミノ酸配列から活性を転換し得るアミノ酸の候補を絞り、培養細胞等を用いてUTXおよびUTYの活性転換を試みた。その結果、UTXおよびUTYの活性を転換させるアミノ酸を同定した。その情報をもとに、現在、ゲノム編集技術を用いたアミノ酸変異導入マウスの作製を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、UTXおよびUTYの活性を変換させるアミノ酸の位置および種類を同定できた。既にゲノム編集を用いたアミノ酸変異導入マウスの作製を進めており、順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
既にゲノム編集マウスの作製を開始しており、2年目初頭にはゲノム編集技術CRISPR/Cas9を用いた遺伝子改変マウスが得られると考えられる。作製できたUTX活性減弱マウスあるいはUTY活性増強マウスの生殖腺、生殖細胞、脳について、特に性分化に注目して表現型、遺伝子発現、代謝産物等を解析し、新奇の性分化制御機構の同定を試みる。
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Causes of Carryover |
当初の想定よりも順調に実験結果が得られたことと、新型コロナウイルス感染拡大の影響で実験規模を縮小したため、使用額が減少したが、次年度にゲノム編集マウスの作製・維持・解析のために使用する。
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Research Products
(10 results)