2020 Fiscal Year Annual Research Report
性染色体上ヒストン脱メチル化酵素活性転換マウスの作製と性分化への影響
Project/Area Number |
19K22369
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩森 巨樹 九州大学, 農学研究院, 准教授 (70647362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩森 督子 九州大学, 医学研究院, 助教 (10711509)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 性分化 / ヒストン脱メチル化酵素 / UTX / UTY / 性転換 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では性染色体上に位置するヒストン脱メチル化酵素UTXおよびUTYに着目した。UTXはヒストンH3リジン27(H3K27)脱メチル化酵素であり、UTYはその脱メチル化活性が非常に低いため、雌雄でH3K27脱メチル化活性が異なる。また、メチル化H3K27を認識し、遺伝子発現を抑制するM33の欠損マウスでは雄→雌の性転換が起こるほか、H3K27脱メチル化酵素JMJD3が爬虫類の温度依存的性決定を制御することが報告されており、「UTXおよびUTYの機能的差異が性分化制御に関与する」との仮説を立て、検証を試みた。まず、UTXの脱メチル化活性をUTY型に減弱するアミノ酸置換、UTYの活性をUTX型に増強するアミノ酸置換の同定を試みた。UTXについては一つ、一方UTYについては三つのアミノ酸部位それぞれにアミノ酸置換を導入し、培養細胞に発現させて検証した結果、それぞれの活性を転換するアミノ酸部位を同定した。次にCRISPR/Cas9を用いたゲノム編集により、上記のアミノ酸変異を持ったUTX活性減弱雌マウス(XXUTX↓)およびUTY活性増強雄マウス(XYUTY↑)を作製した。XXUTX↓はH3K27脱メチル化活性が雄型になった雌マウスであり、XYUTY↑はH3K27脱メチル化活性が雌型になった雄マウスである。結果としてXXUTX↓が雄に性転換することもXYUTY↑が雌に性転換することも見られなかった。現在、繁殖能力を確認するとともに、生殖巣を解析し、なんらかの異常があるか解析を進めている。また、解析過程で作製した上記以外の遺伝子型のマウスにおいて興味深い結果が得られており、今後の展開が期待される。
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