2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a true social evaluation system and central drug efficacy evaluation
Project/Area Number |
19K22373
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
菊水 健史 麻布大学, 獣医学部, 教授 (90302596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野元 謙作 麻布大学, 獣医学部, 特任助教 (30786976)
茂木 一孝 麻布大学, 獣医学部, 教授 (50347308)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | マウス / 社会性 / 集団 / 自動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスの集団行動解析のために、Live Mouse Tracker (LMT)を立ち上げ、LMTの基礎設定項目の洗い出しを行い、複数個体の入れ違いが3割程度の確率で発生する状況があることがわかった。その原因を同定し、装置全体を改修したところ、1割程度にまで低下させることができた。このことから、LMTが100%とは言わないまでも、ある程度のライフログが取得可能な装置として機能させることができた。LMTに自閉症スペクトラム障害のモデルマウスである新生児期バルプロ酸 (VPA)投与マウス (VPAマウス)を入れて行動観察を実施した。 オスのVPAマウスではエンリッチメントの経験により空間認知能力が向上したが、社会認知能力は向上しなかった。一方、オスのWTマウスではエンリッチメントにより空間認知能力と社会認知能力が共に上昇した。またメスではVPAマウスおよびWTマウス共にエンリッチメントによる空間認知能力の変化が見られなかった。これらのことから、オスでは胎生期VPA曝露によって社会認知能力の可塑性に関わる神経回路形成が阻害されたことが考えられた。また空間認知能力の可塑性に性差があることも示唆された。これらの結果から、マウスを集団で飼育することで、真の社会性が反映された行動表現型が現れること、特にASDモデルマウスのような個体の空間認知や社会認知のバランスの変化などが顕在化することが示された。また一般的にASDは男児のほうが罹患率が高く、障害が顕著に確認されるが、今回のLMTでも同様に、オスマウスでの変化がより明瞭に検出された。このようにヒトで言われるような疫学的データが再現されたことからも、LMTの今後の社会性評価システムとしての価値が高まった。
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