2021 Fiscal Year Annual Research Report
新規光誘導型デグロンを用いた生命機能操作技術の創出
Project/Area Number |
19K22378
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深谷 雄志 東京大学, 定量生命科学研究所, 准教授 (00786163)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
Keywords | ショウジョウバエ / ゲノム編集 / プロテインノックダウン / ゲノム構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、BLIDと呼ばれる光依存的なタンパク質分解系(Irizarry et al., Genes Dev 2020)の有効性について、CTCFやSu(Hw)などのゲノム構造化因子を対象に実験的な検証を行なった。ゲノム編集によって内在タンパク質のC末端にBLIDを持つ新規ショウジョウバエ系統を作出し、得られた初期胚に青色光を照射することで、光依存的な分解効率を解析した。その結果、以前に論文で示されているような高効率なタンパク分解の誘導は見られないことが明らかとなった。過去の報告では、Dorsalと呼ばれる転写因子の高効率な分解が誘導可能であることが報告されていたが、今回の解析により標的とするタンパク質の種類によってBLIDの動作効率が大きく異なることが強く示唆された。
そこで、次に初期胚特異的なタンパク質分解を誘導する実験系として、deGradFPと呼ばれるユビキチン・プロテアソーム系を介した分解システム(Caussinus et al., NSMB 2012)を試みることにした。特にごく最近、ゲノム編集とdeGradFPを組み合わせることで、内在タンパク質の高効率な分解が誘導可能であることが示された(Gaskill et al., eLIFE 2021)。そこでまず初めに、ゲノム編集によってCTCFやSu(Hw)に加え、CP190やBeaf-32、Pita、GAFなどの代表的なゲノム構造化因子のC末端にGFPを付与したショウジョウバエ系統を新たに作出した。得られた系統を、NSlmb-vhhGFP4融合タンパク質を初期胚特異的に発現する系統と掛け合わせた。ショウジョウバエ初期胚でのタンパク質量の変化を解析したところ、顕著な分解が観察された。本実験系は、当初の計画とは異なり光依存的なシステムではないものの、発生段階特異的に標的因子を分解する新たな実験系として、個別のゲノム構造因子の機能理解に大きく貢献するものと期待される。
|