2019 Fiscal Year Research-status Report
multiple identification of non-ATP-dependent kinases based on registered crystal structures of enzymes with unknown function
Project/Area Number |
19K22385
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤橋 雅宏 京都大学, 理学研究科, 助教 (10397581)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
Keywords | 結晶構造 / リン酸化 / ピロリン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「生体内リン酸化反応のリン酸基供与体はATP、という常識は取り払うべきではないか?」という命題に挑む。従来生体内におけるリン酸化反応では、ごく一部の例外を除いてATPがリン酸基の供給源であると広く信じられてきた。これに対し我々は、ピロリン酸 (PPi) をはじめとする様々な高エネルギーリン酸結合を持つ化合物が、多くの場面でATPの代替をしていると考えている。そこで、立体構造並びに一次配列のデータベースに登録された情報を基に、PPi依存性のリン酸化酵素 (PPi-kinase) を大量同定することにより、生体内リン酸化反応におけるリン酸源はATPという従来の考えの転換を図る。 研究初年度には、立体構造データベースに登録されている機能未知酵素の立体構造に着目し、PPi依存性酵素の候補を探索した。過去に我々が発表した方法(文献1)を参考に、機能未知酵素とそれに類似したATP依存性の既知酵素の結晶構造を重ね合わせた。機能未知酵素上で、既知酵素のATP結合部位に対応する部位が、アミノ酸残基で埋められているものをPPi-kinaseの候補とした。このような検索の結果、複数のPPi依存性酵素の候補を決定することができた。またATPを結合した酵素の中には、ATPのアデニン環を特異的に認識する残基を持たないものも多かった。このような酵素はATP以外のヌクレオチド三リン酸によっても、リン酸化反応を触媒できる可能性が高い。 これらの候補酵素の一部については、結晶構造決定のために行われた実験を参考にしながら、発現系の構築も行った。 文献 1. Nagata, R., Fujihashi, M. et al. Nat. Commun., (2018), 9, 1765
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画通り、非ATP依存性酵素の候補を複数発見できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
非ATP依存性酵素の候補について、実際に活性を確認する。非ATP依存性と判明した酵素については結晶構造解析を行い、リン酸基供与体との複合体構造を決定する。これを基に、ATP依存性酵素の非ATP依存性酵素への改変や、一次配列データベースからの非ATP依存性酵素の発掘も行う。
|
Causes of Carryover |
研究初年度(2019年度)は、データベース探索を主に行ったため、次年度使用額が生じた。この次年度使用額は、2020年度請求額と合算し、酵素を実際に作成し、活性確認の実験を行うために用いる。多数の実験を行うため、2020年度は2019年度と比べて必要額が極めて大きくなる見込みである。
|
Research Products
(2 results)