2020 Fiscal Year Annual Research Report
大規模RNA構造ライブラリを活用した真のRNA高次構造エレメントの解明
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19K22387
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齊藤 博英 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (20423014)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | RNA高次構造 / RNA structurome / RNA G-quadruplex / Hoogsten 塩基対 / RNAモチーフ / RNA / RNP |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は以下の研究項目の達成に取り組んだ。最も特異性に優れた分子を用いて低コストかつ効率的に非WC構造を探索することを目指した。そのために、非WC構造であるG4構造に対して結合する低分子化合物とRNA構造ライブラリ間の大規模相互作用を解析し、結合親和性と結合特異性を比較評価した。その結果、低分子によって標的結合特異性や二次的に弱く結合するRNA集団が全く異なること、G4構造以外に非常に強く結合する交差反応があることを発見した。同時に標的として予想し得なかったRNA構造と結合を行う低分子化合物の発見に繋がった。これらの結果はリガンドを用いて構造探索研究において、リガンドの結合特性や特異性を評価することの重要性を示した。また、タンパク質と低分子の中で、最も特異性の高い分子を利用することで、ヒトの5’UTRやHIV-1ウィルスゲノムよりG4構造を新規に同定することに成功した。本研究成果により非WC構造の網羅的発見手法の実現に至ったと判断した。
DHX36、CIRBP、G4抗体などのタンパク質を用いてG4に対する結合を大規模に評価する手法、同手法を用いたG4発見手法への応用、非WC構造に対する結合特異性の差異の発見を含む研究内容がNature Communications誌にアクセプトされ、2020年12月に出版された(Komatsu KR et al., 2020)。上記G4発見手法はシーケンスを用いた手法に比べて、G4によって生じる増幅バイアスを回避し優れた定量性を伴って相互作用を検出できることがわかり、本研究のさらなる有用性を証明した。
上記研究以降、別途研究資金採択に伴い本研究プロジェクトは廃止された。後半の研究課題であったG4以外の非WC型RNA構造モチーフの発見を除いた研究成果を取りまとめ、令和3年1月に論文投稿を行う予定である。
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Remarks |
(1)(2)に関してタイトルの長さに入力制限があるため、一部省略した。 厳密にはいずれも「RNA構造のライブラリ化を通じてRNA構造ごとにおけるRNA-タンパク質相互作用を大規模に解析するシステム"FOREST"の開発 ―RNAを標的とする創薬に道―」である。
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