2020 Fiscal Year Annual Research Report
クライオ電子顕微鏡を用いた光化学系II複合体の反応中間体の構造解析
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19K22396
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
秋田 総理 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 准教授 (50751418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 直幸 筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 助教 (00634677)
加藤 公児 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特任准教授 (30452428)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 光合成 / 光化学系 / クライオ電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
好熱性シアノバクテリアを大量培養し、抽出したチラコイド膜を可溶化し、光化学系II (PSII)を精製した。得られたPSIIは良質な結晶ができる程の高純度、高酸素発生活性を有していた。このPSIIを日本電子社CRYO ARM 300クライオ電子顕微鏡で観察することで、1.95オングストローム分解能の立体構造を解明した。これはX線結晶構造解析で決定された1.90オングストローム分解能のPSIIに匹敵するデータであった。分解能の向上の理由として、CRYO ARM 300の冷陰極電界放射型電子銃から発生する干渉性の高い電子ビームの効果が大きいと考えている。この構造はX線結晶構造と類似していたが、結晶構造では一部しか確認されていなかったPsbYサブユニットを完全な状態で確認することができた。これはクライオ電顕で決定された構造が、より生体内に近い状態を反映しているということを示している。しかしながら、一般的に用いられる電子線量で観察したにもかかわらず、PSIIの表在性サブユニットPsbOや活性中心のマンガンクラスターに電子線による損傷が見られた。PsbOの19番目と44番目のシステインはジスルフィド結合を形成するが、電子線による損傷を受けた部分は還元されて結合が切断される。そこで、最適な条件を検討するために、撮影した電顕イメージから使用するフレーム数を段階的に減らして構造解析を行なった。その結果、電子線による損傷を大幅に減少させ、尚且つ、高い精度を保った2.08オングストローム分解能のPSIIの構造が得られた。
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