2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K22411
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
豊福 雅典 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (30644827)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞壁 / プロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
ファージ(バクテリアに感染するウィルス)が内部に共生している細菌では、集団全体の1%程度の割合で細胞壁を失った細菌が出現することを我々は見出した。細菌は細胞壁を失うと、細胞分裂や細胞融合性、物質の排出・取込み能、抗生物質耐性などにおいて、通常の細菌では持ち得ない性質と能力を発揮することが考えられるが、これまでに検証されていない。そこで、本申請課題では、その普遍性が示唆されながらも実態が明らかになっていない細胞壁を失った細菌の特性を明らかにすることを目的にする。内在性のファージによって、細胞壁を失うことをこれまでに明らかにしている。通常の培養条件下では、本菌は1%程度しか得られず、解析が極めて困難であることから、本年度は、本菌を安定的に解析できるよう、その形成される割合を最適化することを試みた。そこで、本遺伝子が発現する条件を明らかにし、細胞壁を失う細菌が安定的に生存できるような条件の最適化を行った。細胞壁分解酵素を誘導できる株を作製したところ、効率よく細胞壁が分解された細菌を形成できるようになった。最適化された種々の条件を組み合わせたところ、100%に近い割合で、通常の細胞を細胞壁を失った細菌に転換することに成功した。また、本菌を今後解析していくために、ライブセルイメージング技術を構築した。観察の結果、細胞壁を失った細菌の一部が再び通常の桿菌に戻り、増殖することが観察されたことから、生存していることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞壁を失った細菌を安定的に供給できるシステムが開発でき、本菌を本格的に研究できるための基盤が構築できた。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞壁を失った細菌がどのような性質を示すのかについて、通常の細菌と比較しながら、その特性を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度はおおむね順調に研究が進み、細胞壁を失った細胞を安定的に培養できる条件を見出した。その解析を次年度から速やかに行うために、予算の一部を繰り越した。
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