2020 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外タンパク質品質管理システムの実証と研究基盤創出
Project/Area Number |
19K22413
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
板倉 英祐 千葉大学, 大学院理学研究院, 助教 (90754218)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | シャペロン / 細胞外タンパク質 / タンパク質分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞外、つまり血液には高濃度のタンパク質が存在する。細胞内と同様な熱ショックや酸化ストレスだけでなく、様々なストレスに曝され、タンパク質にとって厳しい環境である。しかし血液内は低ATPレベルのためシャペロンによるrefoldingが期待できず、再折りたたみすることができない。実際に、アルツハイマー病、プリオン病、アミロイドーシス、2型糖尿病など、細胞外タンパク質沈着を伴う疾患が多くある一方で、細胞外の不良タンパク質を除去し細胞外タンパク質ホメオスタシスを保つ、細胞外タンパク質品質管理システムは解明されていない。 昨年度は細胞外シャペロンClusterinが細胞外の変性タンパク質と結合し、細胞膜表面のヘパラン硫酸を介してChaperone and receptor mediated extracellular protein degradation (CRED)経路による細胞外タンパク質分解システムが存在することを明らかとすることに成功した。本年度は、別の細胞外シャペロンAに関して機能解析を行った。その結果、細胞取込みアッセイから細胞外シャペロンAもClusterinと同様に細胞外変性タンパク質の分解活性を示した。さらにClusterinと細胞外シャペロンAの基質指向性を比較検討したところ、両者は疎水性認識に対してある程度の相違性を示したことから、疎水性度によって基質選択性を持ち、それぞれが異なる細胞外品質管理システムとして働いていることが示唆された。これらの成果は、細胞外タンパク質品質管理システム研究基盤の土台となり、世界に先駆けた新規分野の確立が期待できる。
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