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2019 Fiscal Year Research-status Report

脳による時間符号化研究の新機軸

Research Project

Project/Area Number 19K22425
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

志賀 向子  大阪大学, 理学研究科, 教授 (90254383)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 濱中 良隆  大阪大学, 理学研究科, 助教 (10647572)
長谷部 政治  大阪大学, 理学研究科, 助教 (40802822)
Project Period (FY) 2019-06-28 – 2022-03-31
Keywords概日時計 / 二日リズム / 概倍日リズム / 神経分泌細胞 / PDF / ナミニクバエ / オオクロコガネ
Outline of Annual Research Achievements

ナミニクバエ:環状腺先端から3分の1の領域で切断し、神経断端部からニューロビオチンを取り込ませ、前胸腺を含む環状腺先端側に終末する神経細胞を染めたところ、切断端と同側の脳半球に6つの、反対側の脳半球に2つの大型の細胞体が染色され、それらの神経線維が環状腺へ走行する像が観察された。これらは細胞体の位置から脳側方部(PL)ニューロンであると考えられる。次に、Pigment-dispersing Factor (PDF) 抗体を用いた免疫組織化学を行った。幼虫の脳半球側方に3‐6個のPDF陽性細胞のクラスタが見られ、それらが脳の背側中央へ神経線維を伸ばし、その先には多数のバリコシティが観察された。さらに、PDF免疫陽性ニューロンとPLニューロンとの二重染色を行ったところ、PLニューロンの神経線維とPDF免疫陽性ニューロンのバリコシティが互いに近傍に存在することがわかった。脳背側中央部のPDFバリコシティの数を5日間の長日あるいは短日条件を与えた幼虫の間で比較したところ、有意な差は見られなかった。ノックアウト個体の作出に向け、雌成虫の羽化後の卵巣発達を日齢を追って調査した。また、大腸菌を用いてナミニクバエ卵黄タンパク質断片―GFP結合タンパク質を作製し、雌成虫への取り込みを調べた。これによりReMOT-CRISPR/CAS9法において母親へ注射するタンパク質をデザインし、注射タイミングを検討した。
オオクロコガネ:成虫の脳をパラアルデヒドフクシンで染色した結果、脳間部に約100個の神経分泌細胞が染色された。外科的手術により、これらの細胞を約40個になるまで取り除くと概倍日リズムが消失し、無リズムとなった。一方、手術により細胞が約70個残った場合、オオクロコガネは概倍日リズムを示した。これより、脳間部の神経分泌細胞の一部が概倍日リズムの形成に関与する可能性が考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ナミニクバエとオオクロコガネについては光周性や概倍日リズムに関わりうる神経ネットワークの一部を見つけることができた。ナミニクバエでは、今後、PLニューロンとPDFニューロンとの接続部を詳細に解析し、日数および日長による違いが無いか調べる実験へつなげることができる。オオクロコガネについては、視葉にある概日時計からの時刻情報を受ける候補として、脳間部の細胞群を提示することができた。今後、視葉内のPDFニューロンと脳間部細胞との連絡について調べる必要がある。ナミニクバエのノックアウト個体の作出については、基礎的なデータの取得および準備を整えることができた。これらに基づき、今後体色を決める遺伝子を用いて、方法確立を目指す。

Strategy for Future Research Activity

本研究は、昆虫の光周性と概倍日リズムを材料に、概日時計の計数機構を解くことを目的とし、今後以下の方策で研究を推進する。
ナミニクバエでは、PLニューロンとPDFニューロンとの接続部に日数あるいは日長による可塑性(変化)があるか形態学的に調査する。初年度の結果では、PDFニューロンのバリコシティの数に日長による差は見られなかったことから、形態学的には日長や日数による変化が検出できない可能性もある。そこで、計画を一部変更し神経可塑性として遺伝子発現にも注目することとする。PLニューロンの細胞体は大型であるため、単一細胞のrt-qPCRが可能であると考えられる。既存の微分干渉赤外線顕微鏡を用いて単一細胞を採取し、前胸腺刺激ホルモンなど複数の候補遺伝子について相対発現量を調べ、日数および日長に応じて変化する遺伝子を調査する。また、キイロショウジョウバエにおいてシナプス可塑性との関連が示されているスペルミジンを食べさせ、光周性への影響を調べる。
オオクロコガネでは、概日時計細胞の同定に向け時計遺伝子の同定を行う。配列解析のために、他研究費と合算でRNA-seq解析を実施する。全長に近い配列が得られれば、抗体を作製し、免疫組織化学により時計細胞を探す。そして、PDFおよび脳間部細胞との連絡を調べる。
キイロショウジョウバエについては、本年度組換え個体の飼育態勢を整えたので野生型および時計細胞に蛍光タンパク質が発現する組換え系統の飼育を開始する。そして、本研究費で購入した落射蛍光装置とデジタルカメラを用いて、時計細胞の電気生理学的解析および形態解析を実施し、日数および日長に応じた可塑性について調査する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2019

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] オオクロコガネ Holotrichia parallela の概倍日リズムにおける視葉の役割2019

    • Author(s)
      渡邊耕平、志賀向子
    • Organizer
      日本動物学会近畿支部大会
  • [Presentation] ナミニクバエ Sarcophaga similis 幼虫の脳におけるPigment-dispersing factor免疫陽性ニューロンとPars lateralisニューロンの形態学的解析2019

    • Author(s)
      大江 勇太郎,志賀 向子
    • Organizer
      日本動物学会大阪大会
  • [Presentation] オオクロコガネ(Holotrichia parallela)の概倍日リズムにおける温度補償性2019

    • Author(s)
      中川 一生,志賀 向子
    • Organizer
      日本動物学会大阪大会

URL: 

Published: 2021-01-27  

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