2020 Fiscal Year Research-status Report
新しい脊椎動物モデル・キンギョの変異体の表現型多様性を作り上げる分子機構の理解
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19K22426
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
大森 義裕 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (90469651)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | ゲノムワイド関連解析 / キンギョ / 脊椎動物モデル / 家畜化 / 全ゲノム重複 |
Outline of Annual Research Achievements |
キンギョは、全ゲノム重複を1400万年前に経験しており、全ゲノム重複後の遺伝子進化の研究に適したモデル生物である。また、ゼブラフィッシュやメダカに見出されてこなかった変異体も多く、新たな脊椎モデル生物として注目されている。本研究では、新しい脊椎モデルとしてのキンギョの解析と表現型の多様性を作り上げるメカニズムの解明をすすめてきた。これまでに、キンギョ全ゲノム解読を完了し、論文発表を行った。また、キンギョ品種のゲノム解析を行い、ゲノムワイド関連解析を行うことで、5つの表現型に関連する6つの遺伝子座を新たに同定した。令和2年度は、これまで行ってきたキンギョ品種を用いたゲノム解析に関する知見をまとめ、論文として発表および学会発表を行った。キンギョとコイとのゲノム規模の配列の比較を行い、非対称サブゲノム進化についてより詳細な解析を行った。金魚品種同士の雑種交配実験に関しては、F2世代の表現型データの解析を行った。F2世代のキンギョ個体からゲノムを精製して、次世代DNAシーケンサーで解析を行い、ゲノムワイド関連解析(GWAS)などのバイオインフォマティクスの手法を使って、表現型と関連する遺伝子座の解析を進めた。一方で、ゼブラフィッシュを用いて、キンギョで見つかった遺伝子に対してゲノム編集を行うことで表現型の因果関係の解析を行った。令和3年度は、新たにF2世代が得られた集団について、ゲノム精製を行い全ゲノムシーケンスやRADseqによる次世代DNAシーケンサーを用いた解析を進める。さらに、表現型をもつキンギョの組織を単離し、RNAを精製し複数個体の野生型と変異体のRNAseq解析を進めることで、原因遺伝子の同定の補助とするとともに、分子メカニズムの解明に繋げる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は、これまで行ってきたキンギョ品種を用いたゲノム解析に関する知見をまとめ、論文として発表および学会発表を行ったキンギョゲノムとコイゲノムとのゲノム規模の配列の比較を行い、非対称サブゲノム進化についてより詳細な解析を行った。金魚品種同士の雑種交配実験に関しては、F2世代の表現型データの解析を行った。F2世代のキンギョ個体からゲノムを精製して次世代シーケンサーで解析を行い、ゲノムワイド関連解析(GWAS)などのバイオインフォマティクスの手法を使って、表現型と関連する遺伝子座の解析を進めた。また、新たな品種の個体からゲノムを精製し、得られたデータをこれまでのデータと統合したかたちでGWAS解析もすすめている。一方で、ゼブラフィッシュを用いて、キンギョで見つかった遺伝子に対してゲノム編集を行うことで表現型の因果関係の解析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、昨年度、新しく作製した表現型をもつキンギョの雑種交配F1を掛け合わせてF2世代の作製を行う。また、新たにF2世代が得られた集団については、ゲノム精製を行い全ゲノムシーケンスやRADseqによる次世代DNAシーケンサーを用いた解析を進める。さらに、表現型をもつキンギョの組織を単離し、RNAを精製する。こうして得られた材料を元に複数個体の野生型と変異体のRNAseq解析を進めることで、原因遺伝子の同定の補助とするとともに、分子メカニズムの解明に繋げる。また、昨年度得られた品種間におけるゲノムワイド関連解析のデータの情報学的解析をすすめ、論文発表に繋げる予定である。
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Causes of Carryover |
水棲動物飼育棟の設置が予定より遅れたため次年度に設置にかかわる予算を繰り越すことで対応した。
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