2019 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanisms underlying structural color of scarab beetles and its evolution
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19K22440
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
神村 学 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (60370649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 倫太郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 高度解析センター, 上級研究員 (00399429)
石川 謙 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (10176159)
安藤 俊哉 基礎生物学研究所, 進化発生研究部門, 助教 (10709744)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 構造色 / コガネムシ / 円偏光 |
Outline of Annual Research Achievements |
コガネムシ科の昆虫は、左円偏光からなる非常に珍しい構造色を持つ。円偏光選択的な構造色を持つ昆虫はコガネムシだけであり、昆虫以外でも同じ節足動物のシャコしかいない。本研究では、この珍しいコガネムシの構造色を生み出す分子メカニズムを解明するとともに、その進化の道筋も探ることを目指している。われわれはすでに、コガネムシの1種ナミハナムグリの構造色発色に必要な遺伝子LCP1を同定しており、本年度は、当初計画に沿って、LCPタンパク質の立体構造予測、およびLCP1遺伝子オーソログの各種昆虫からの同定とRNAiによる機能解析を行った。 ナミハナムグリLCPタンパク質のN末端は疎水性アミノ酸に富むことからおそらくシグナルペプチドとして機能していると考えられた。また、内部に3箇所の繰り返し構造が存在していた。しかし、それ以外の配列は明瞭な構造を取らないことから、天然変性タンパク質(intrinsically disordered protein: IDP)と考えられた。 公開されているRNA-seqデータおよび全ゲノムデータを検索したところ、LCP遺伝子オーソログはコガネムシ科のみならず、コウチュウ目の昆虫に幅広く存在することがわかった。他目の昆虫にもLCP1様遺伝子は幅広く存在していたが、繰り返し配列の数は目により2~5と異なっていた。以上の結果から、コガネムシが昆虫に広く保存された遺伝子を改変することで生物界全体を見ても非常に珍しい円偏光選択的な構造色機構を獲得した可能性が示唆された。 コガネムシ科の中のハナムグリ亜科の構造色を持つ数種のコガネムシでLCP1遺伝子のRNAiを行ったところ、全ての種で構造色が消失し、ハナムグリの仲間ではLCP1が構造色発色に必須の機能を持っていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初計画通りに順調に研究を進めることができているから。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画に沿い研究を進める。
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Causes of Carryover |
雇用する予定だった実験補助者が雇用できなかった。また、コロナウイルスの拡散防止のため、予定していた学会発表を含む年度末の出張が全てキャンセルになった。今年度は実験補助者を雇用して研究の効率化を図り、また、外出制限が緩和され次第、研究値合わせ、実験材料確保のための採集、発表などをより積極的に行いたい。
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