2021 Fiscal Year Annual Research Report
菌類の種間競争と有機物分解の関係を炭素配分戦略からモデル化する
Project/Area Number |
19K22444
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
深澤 遊 東北大学, 農学研究科, 助教 (30594808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 真由子 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (60444569)
井手 淳一郎 公立千歳科学技術大学, 理工学部, 准教授 (70606756)
三浦 政司 鳥取大学, 地域価値創造研究教育機構, 准教授 (80623537)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 菌種間競争 / 炭素配分戦略 / 白色腐朽菌 / 褐色腐朽菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
菌類は陸上生態系で有機物の無機化を担う主要な生物群だが、多種の菌種からなる菌類群集の有機物分解機能を、単一種の菌類の分解機能から予測することは困難である。その理由は、2種以上の菌類が存在すると有機物をめぐる競争が起こり、その結果が菌類群集の組成に影響するだけでなく、競争のコストが各菌類の分解機能自体に影響する可能性があるためである。密接に関係する菌種間競争と有機物分解の関係を理解するためには、菌類が有機物分解によって得た炭素を、競争のための二次代謝物質生産、有機物分解のための酵素生産、生長、呼吸のどれに配分するかという炭素配分戦略を詳細に明らかにする必要がある。しかしこれまでは、2種以上の共存下で菌類の生産した物質とその由来を網羅的に特定することが困難であった。本研究では、近年発達した高解像度の分子同定法と遺伝子発現解析を併用することで、競争下での菌類の有機物分解と炭素配分戦略の関係を推定する。得られたデータを用いたシミュレーションにより、菌類の空間獲得競争、炭素配分戦略、有機物分解の3者関係を説明するモデルを構築することを目指した。 白色腐朽菌シハイタケと褐色腐朽菌マツオウジの各2菌株を使った液体培養実験により、培地の炭素利用と呼吸、菌糸体生長、有機酸・二次代謝産物の生産量を厳密に測定し、炭素の配分比率をそれぞれの菌の純粋培養と他種との対峙培養の時で比較し、さらに温度がそれらに与える影響を評価する実験を行った。その結果、白色腐朽菌であるシハイタケは温度および競争によって炭素配分が大きく変化したのに対し、褐色腐朽菌であるマツオウジは炭素配分に対する温度および競争の影響は小さいことが明らかになった。すなわち、褐色腐朽菌はストレスに対する抵抗物質に炭素をより多く投資でき、炭素コストを強いる過酷な条件では有利になるかもしれない。
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Research Products
(9 results)