2020 Fiscal Year Research-status Report
Using compound-specific radiocarbon clock as a tracer of soil carbon in plant archives
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19K22463
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
石川 尚人 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生物地球化学センター), 研究員 (80609389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅 寿美 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生物地球化学プログラム), 准研究副主任 (80392942)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | クロロフィル / 再利用 / 爆弾炭素 / 植物標本 / タイムマシン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに明らかにした(1)葉の博物標本のΔ14Cは、過去の大気CO2の情報を記録するタイムマシンであること;(2)特に大気CO2の14C濃度が極めて高かった1960年代の試料をターゲットとすることで、大気CO2由来の炭素と、土壌由来の炭素をΔ14Cで明確に区別できる可能性があること、に基づき、本年度は(1)実験条件の最適化;および(2)高速液体クロマトグラフィーによる色素のスクリーニング、を行った。その結果、従来の実験条件においては、古い年代の試料からΔ14C分析に十分な量のクロロフィルを回収することは難しいことが判明した。その理由として、当初想定していたよりもクロロフィル化合物の分解速度が大きかったことがあげられる。使用した標本は、長期間チューリッヒ大学の植物園に標本として保管されていたものである。保管室内は恒温状態に保たれ、標本は遮光保存されていた。ところが、クロロフィルの分解に重要な役割を果たす酸素には長期間曝気されていたため、かなり分解が進んでしまったものと考えられる。したがって、今後は(1)実験条件を改良し、クロロフィルの回収率を上げる;または(2)ターゲットをクロロフィルだけでなく、その分解生成物まで広げる、ことを視野に入れて研究を展開する予定である。(2)については、予備的な検討をすでに行っており、クロロフィルの一次的、または二次的な分解生成物はまだ十分に残っていることを確認しており、今後さらに検討を続けていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験条件の最適化、およびターゲット化合物の選定に、やや時間がかかっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初はクロロフィルのみをターゲットとしていたが、もっと幅広い化合物を対象とすることになった。このことは、多少、遠回りではあるが、森林の炭素循環を書き換える、という目標の達成のためにはプラスに働き、最終的には成果の一般化につながるものと期待している。
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Causes of Carryover |
実験条件の検討および分析ターゲットの選定に時間がかかり、予算の使途が確定しなかったため。新しい条件とターゲットが決まり次第、すみやかに必要な物品を購入し、成果をとりまとめる。
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